東洋医学で考える認知症の予防
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東洋医学で考える認知症の予防

認知症は東洋医学で予防できるのでしょうか?
まずは、認知症とはどういう病気なのか知ることから考えてみましょう。

認知症とは

 body_nou認知症は脳の老化が原因で生じます。脳は、私たちの活動をコントロールしている司令塔です。司令塔である脳の細胞が死んでしまったり、うまく働かなくなったために認知障害がおこり、社会的生活力が失われた状態を認知症と言います。

 40歳代では1万人に1人、95歳では2人に1人かかると言われています。 75歳までは少ないですが、その後、5歳ごとに倍増していき、加齢とともに増えていきます。このように老化が密接に関係していて、高齢者の15%が認知症にかかると言われています。

(認知症の原因)


 認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは、アルツハイマー病など脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく病気です。次に多いのが脳血管性認知症です。脳動脈硬化、脳梗塞などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまうことで起こります。

 認知症のうちの約半数は、アルツハイマー病、そして、脳血管性認知症が2割です。この2つを予防すれば認知症の7割近くをカバーできます。ここでは、この2つについて説明します。

(アルツハイマー病)


 認知症の半数を占めるアルツハイマー病は、βタンパクなどのタンパク質の一種が脳内に溜まることが原因とわかってきました。

 通常、βタンパクは、きれいに掃除されますが、分解・除去力が低下してくる人が出てきます。βタンパクが蓄積し始める年齢には個人差があり、早い人では40歳代からで、5%程度の頻度と言われています。加齢とともに増えていき、90歳代では80%以上の頻度でβタンパクの蓄積がでてきます。

 しかし、認知症の多くは発症までの時間が長く、βタンパク質が溜まり始めてから発症まで20年~30年かかるといわれています。また、βタンパクが蓄積したからと言って、必ず認知症を発症するものでもないのです。100歳まで生きても生涯発症しない方もいらっしゃいます。

 人は必ず年をとり、老化していきます。老化予防とは老化を止めることではなく、老化のスピードを遅らせることです。認知症の予防もこれと同じで、発症や進行を遅らせることなのです。

(脳血管性認知症)

 脳血管性認知症は、脳血管障害によって生じる認知症です。主に、大脳の白質というネットワークがある部分が血流不足によって酸素や栄養が行き渡らなくなり、障害を受けて生じます。
加齢に伴う動脈硬化がその主な原因です。動脈硬化を防ぎ、脳血流をよく保つことが、脳血管性認知症の予防になります。

 つまり、動脈硬化を引き起こす原因となる高血圧症、糖尿病、脂質代謝異常など、これらの疾患をきちんと予防・治療することが脳血管性認知症の予防に繋がります。

 

認知症を防ぐ日常生活の工夫

(脳を活性化する)

 脳には「受けたダメージから回復しようとする力」があります。脳内の連絡網であるシナプスは使い方で強化されます。前向きに脳を使い、いろいろなことを学習し、体験することで脳を活性化することが有効です。

rounyakunannyo[2] 褒めると、ほめられた人も褒めた人も脳内でドーパミンが出ることがわかってきました。ドーパミンは意欲を湧き起こす物質で、褒めることで、発症や進行を遅らせる効果も期待できます。「褒めあう、楽しく会話をする、楽しいことをする」ことで脳が活性化されます。

 また、社会的交流が認知症リスクを低減します。日々のコミュニケーションが大切です。

 

 

(食事について)

 vegetable認知症は、食生活も大きく影響していることもわかってきました。肥満・高血圧・高コレステロールは、認知症のリスクが2倍になります。脂質はとりすぎないで、適度に摂ることが大切です。

 また、お酒が飲める方は、赤ワインのポリフェノールがアルツハイマー病のリスクを半減すると言われています。ただし、飲みすぎは肝機能に悪影響を与えますので注意が必要です。

(運動の効果)

 中年期の運動が予防になります。20分~30分以上、軽い発汗程度の運動、週2回以上で、アルツハイマー病が1/3になるという研究結果があります。運動によって脳内の海馬や前頭葉と呼ばれる部分の働きがよくなり、記憶力がアップします。BDNFという神経細胞の栄養も増え、神経細胞が新しく作られます。

 また、律動運動(歩行などの続ける運動)で抗うつ作用のあるセロトニンが分泌されます。毎日の散歩や、軽いジョギングがよいです。膝の悪い方はその場ジョギングがよいでしょう。その場ジョギングは、つま先から足を着くので膝を痛めることも少ないです。

 walking_old_man[1]taisou_oldwoman[1]身体活動が低いと脳血流量が低下し、認知機能が低下していきます。また、小さな脳梗塞があり血行が悪いと発症が早まると言われています。日々身体を動かすことは、心臓や脳の血管の状態を良好に保つことにつながるので、認知症の予防に高い効果があります。

 ストレスは副腎皮質ホルモンを上昇させて、神経細胞を傷めてしまいます。ストレスでアルツハイマー病の病変が増えることが分かってきました。

 このように、認知症の予防や進行防止には、食事、運動、前向きな生活などを組み合わせた対応が必要です。「魚、野菜、赤ワイン、腹八分目を心がけ、大いに笑い、人と交流し、週2回は汗をかき、明るく前向きに生きましょう」。これらを行えばすぐに効果が上がるというものではありません。生活習慣として身につけることが大切です。
                                                                       引用文献 山口晴保:読めば納得!認知症予防  共同医書出版社

東洋医学に基づく認知症予防

 人の体は、仕事の無理、人間関係、ストレス、不規則な生活、などの要因が重なり合いながら、気血のかたよりやとどこおりが起こってきます。そしてだんだんと身体の芯が「冷え」、自己治癒力が低下していきます。

 東洋医学では、これを「根元的な冷え」と呼び病の原因と考えます。

 東洋医学的な見方からすると、アルツハイマー病の原因であるβタンパクの分解力や除去力の低下は、まさに自己治癒力が低下した状態と考えられます。また、気血のめぐりが悪くなると、瘀血(血流の滞り)がおこり、これが生活習慣病を招き、認知症のリスクを上昇させます。

 鍼灸治療は、気血の流れを整え、「冷え」をとることで、人が本来有している自己治癒力をきちんと働くように促します。つまり、鍼灸でアルツハイマー病の原因であるβタンパクの分解力や除去力の低下を防ぐ、あるいは遅らせることが期待できます。

 また、鍼灸治療を続けていると、血行が良くなってきます。脳内の血流も改善されて、認知症リスクの低下につながります。脳内に酸素と栄養がいきわたり、「脳の回復しようとする力」にも効果的です。

 さらに、近年の研究で鍼灸治療により、体内からエンドルフィンやエンケファリンなどのモルヒネ様物質が分泌されることが分かってきました。これらの働きにより、爽快感が感じられ、気持ちも元気になり、前向きになると考えられています。鍼灸治療には精神安定作用があると言われているのです。

 このように、東洋医学は、根本の原因に対してアプローチするという特徴があります。日々の運動と食事、前向きな生活、そして鍼灸治療で、効果的な認知症予防ができると考えます。

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