流産の原因と予防~自然流産・習慣流産・不育症の鍼灸ケア
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流産の原因と予防~自然流産・習慣流産・不育症の鍼灸ケア

 日本産婦人科学会によると、「妊娠の早い時期、22週(赤ちゃんがお母さんのお腹の外では生きていけない週数)より前に妊娠が終わること」を流産といいます。

 流産は全妊娠の約15%で起こるという統計もあり、流産する女性は決して少なくないと言われています。

 また、妊娠12週未満の早い時期での初期流産が多く、流産全体の約90%を占めます。

 では、いったいどうして流産してしまうのでしょうか? なぜ繰り返し流産してしまうのでしょうか? 流産は防ぐことができるのでしょうか?

 東洋医学と西洋医学の知見を交えながらわかりやすくお話ししたいと思います。


もくじ

下線部分をクリックするとご覧になりたい章に移動します。

第1章 流産について
 1.流産とは
 2.初期流産
 3.初期流産の原因
 4.後期流産
 5.後期流産の原因
 6.切迫流産とは
 7.化学的流産とは
第2章 何度も繰り返してしまう流産について
 1.習慣流産とは
 2.不育症とは
 3.流産を繰り返す頻度と妊娠成功率
 4.不育症のリスク因子と不育症診断の現状
 5.病院で行われる不育症検査
 6.不育症検査から除外された検査項目

第3章.東洋医学で診る流産の根本原因
 1.東洋医学における冷えの本質
 2.新しい生命を育む力
 3.流産の根本原因

第4章 流産予防の鍼灸ケア

第1章 流産について

1.流産とは

 先述の通り、日本産婦人科学会では、流産とは「赤ちゃんがお母さんのお腹の外では生きていかれない時期(妊娠22週未満)に、妊娠が終了してしまうこと。」と定義しています。

 この時期に赤ちゃんが子宮の中で亡くなった、あるいは、子宮から娩出されてしまった状態を流産といいます。

 流産は、起きた時期により初期流産後期流産があります。

2.初期流産

 初期流産は妊娠12週以下で赤ちゃんがまだ「胎芽」のころに起こります。

 流産のおよそ90~95%が初期に起こると言われており、流産の危険性が最も高い時期です。

 一般には、第四月(12~15週)には胎盤は完成して流産の心配は少なくなります。

 初期流産には次の種類があります。

稽留流産


 出血などの症状はでていませんが、子宮内ですでに赤ちゃんがなくなって、そのまま留まっている状態です。

 超音波検査が確立したため、自覚症状が出る前に早期に確認できるようになった流産です。

進行流産


 出血や腹痛などの症状がはじまり、子宮が収縮を開始し赤ちゃんが娩出されつつある、今まさに流産が進行している状態です。

 進行流産は、完全流産に移行することもあり、赤ちゃんとその組織(胎嚢)が完全に娩出された場合は、手術を行わないこともあります。

 子宮内に組織が少し残る、不完全流産の場合は手術が行われます。

完全流産


 子宮内の赤ちゃんや胎嚢が、完全に娩出された状態です。

不完全流産


 子宮内にある赤ちゃんや胎嚢が、完全には娩出されずに残っている状態です。

 この場合は手術をして、子宮の中に残った組織を取り除きます。

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3.初期流産の原因

 流産すると「あのとき、無理したから」「重いものを持ってしまったから」と誰もが自分を責めてしまいがちです。

 あるいは他人から指摘され、心を痛めている人がいるかもしれません。

 しかし、これは大きな誤りです。




流産の約80%は自然流産


 初期流産の多くは、赤ちゃんの偶発的な染色体異常などによって起こります。

 重い異常を持った赤ちゃんは生きていくことができないため、早めに成長を止めて、妊娠途中で自然淘汰されます。

 流産の約80%は自然流産なのです。

 そして、このような染色体異常による自然流産は、全妊娠の約15%で起こると言われています。

 災害や事故など、非常に特殊な状況下では、稀に流産の原因となることもありますが、「ちょっと無理をした」「運動をした」というような普通の行動が、直接流産に結びつくことはないのです。


 

加齢による卵の老化


 では、なぜ染色体などに異常を持った赤ちゃんができてしまうのでしょうか?

 精子と卵子はすべて正常とは限りません。中には異常があるものも存在します。

 何分のいくつかの確率で異常をもつ精子卵子が受精すると、受精卵も異常を有することになります。

 精子は毎日新しく作られていますが、女性は胎児のころから卵(原始卵胞)を持っています。そのため、卵は、女性が年をとるごとに一緒に老化していきます。

 たとえば30歳の女性の排卵した卵子は30年、40歳の女性の卵子は40年としをとっていることになります。

 このため、卵子の染色体異常率は年齢とともに上昇します。

 健康な女性では、排卵した卵子の25%(4個に1個)に染色体異常があると考えられています。

 卵子の異常は、このような卵の老化と関係があり、女性の年齢が上がるにしたがって「流産率」も高くなります。

 胎児の染色体異常による流産の率は、女性の年齢が10代から30代までは横ばいで、35歳以降に上昇し、40歳で40%、42歳で50%、42歳以上では80~90%といわれています。

 しかし、高齢で元気な赤ちゃんを出産した人は大勢います。

 ですから、これは原因の一つとして考えられても必ずしもすべてとはいえません。




 一方、男性の精子は、約10%に染色体異常があると言われています。

 しかし、精子は常に新しく作られています。1つの精子は、約80日かけてつくられており、30歳の男性の精子が、30年としをとっているわけではありません。

 精子の染色体異常は、それほど年齢の影響は受けないと言われています。

 さらに、健康な男性の精子は、億の単位で膣内に射精され、それが卵管膨大部で待っている卵子に向かって泳いで、一番乗りした一番元気な精子のみが受精にいたることができます。

 卵管膨大部に到達するまでの間で、異常を持つものはほぼ淘汰されます。このため、精子の染色体異常は、受精卵に影響しないと言われています。

 受精卵の異常で卵子が取りざたされるのは、異常をもった精子が受精する可能性が少ないからです。ただし、体外受精などの場合、必ずしも卵子の異常だけとはいえません。


受精卵の自然淘汰


 受精卵の異常と聞くと、ものすごく特別なことのように感じられますが、そんなことはありません。

 ぴたりとタイミングのあった1回の性交で妊娠する確率はわずか30%です。しかも、その受精卵のうち約40%が染色体異常などをもつと言われています。

 異常をもった受精卵は着床できずに退化したり、着床してもやがて成長を止めてしまいます。

 では、その過程を具体的にみていきましょう。




 まず、卵管内で卵子と精子が出会い受精卵ができます。この段階では、受精卵の染色体異常率は先ほどお話ししたように約40%です。

 次に、受精卵は成長しながら、子宮内腔に移動してきます。着床前の受精卵の染色体異常率は25%に減っています。

 染色体異常率が40%から25%に減っているのは、異常のある受精卵のいくらかは、卵管から子宮内腔に移動してくる間に自然淘汰され、吸収されてなくなっているからです。

 その後、受精卵は子宮内膜に到達して、着床が起きます。

 そして、しばらくすると月経が遅れ、妊娠反応を調べると陽性になります。ここで、妊娠したことに気が付きます。

 この時点での受精卵(胎芽)の染色体異常の率は10%で、着床前の25%よりも減少しています。この過程でも異常のある受精卵は、自然淘汰されています。


 妊娠反応が陽性となり、妊娠に気が付いた時点の胎芽の染色体異常率は10%です。

 ということは、もしも妊娠判明後、すべての妊娠が継続したならば、生まれてきた子供の10%は染色体異常ということになってしまいます。

 もちろん、現実ではそのようなことは起きていません。異常をもった胎芽はほとんど自然淘汰され、実際に生まれてくる染色体異常をもった新生児はわずか0.6%です。

 この妊娠がわかった後に起きた自然淘汰のことを「流産自然流産)」と呼んでいます。

 実際に流産した赤ちゃんやその胎盤の染色体を検査すると、約半数以上に明らかな染色体の形や数の異常が認められています。


 こうして40%もあった異常をもつ受精卵は、自然淘汰流産という形をとりながら、出産時にはわずか0.6%にまで減少していきます。

 まとめると、受精卵の染色体異常率の変化は、
 受精時40%→着床時25%→妊娠前期10%→妊娠後期0.6%
 となります。

 このように、異常をもった受精卵が自然淘汰されていく過程は、だんだん明らかになってきました。




 しかし、元となる精子卵子に異常が起きてしまう原因は、残念ながら現代医学(西洋医学)ではまだ解明されていません。

 たとえ、正常な卵子と精子が受精しても、それぞれの核が合体する過程で何らかの異常が受精卵に生じることもあります。妊娠の超初期については、西洋医学でも未だわからないことが多いのです。


 そして、流産の「根本原因」はここにあると東洋医学では考えています。詳しくは「第3章 東洋医学で診る流産の根本原因」でお話しいたします。


子宮筋腫と流産の関係


 ごくわずかですが、母体側の原因で初期流産に至ることもあります。よくいわれるのが子宮筋腫です。

 筋腫はできる位置によって、流産の原因になる場合とならない場合があります。

 子宮の外側にできるタイプの筋腫(漿膜下筋腫)なら、子宮内の胎嚢を圧迫することはないので、まず影響はないと言われています。

 しかし、子宮の内側にできる筋腫(粘膜下筋腫)や、子宮の筋層内で成長する筋腫(筋層内筋腫)でも内側に近いものは注意が必要です。




 筋腫は女性ホルモンの分泌によって大きくなる傾向があると言われています。妊娠中は女性ホルモンがさかんに分泌されるので、筋腫は大きくなる場合があります。

 大きくなった筋腫は胎嚢を圧迫するようになり、流産の危険性が高くなります。筋腫が流産の原因になるのは、妊娠初期よりも中期の方が多いようです。


ウイルスの影響


 意外に知られていないのが、ウイルスの存在です。妊娠初期の女性がウイルス感染すると、種類によっては流産に至ることがあります。

 ただし、流産に影響のあるウイルスは、かなり特殊なウイルスなので、あまり神経質になる必要はないと言われています。

 この中で最近注目されているのはサイトメガロウイルスです。これは、妊娠初期に初感染すると流産したり、流産しなくても赤ちゃんに障害が残ることがあります。




 昔はほとんどの人が子供のころに初感染して抗体を保有していました。ところが現在はかなり清潔になり、大人になって初めて感染する人が増えてきました。

 妊娠初期はできるだけ人ごみを避け、外から帰ったら手洗いうがいをしっかりしましょう。これだけでもサイトメガロウイルスなどのウイルス感染を、かなり防ぐことができます。


トキソプラズマ


 動物を飼っている人が、流産の原因になるかどうか心配するのが、トキソプラズマという原虫(病原体の一種)です。

 流産に影響を及ぼすことはありませんが、妊娠初期の女性が初感染すると、お腹の赤ちゃんに異常をもたらすことがあります。

 この媒体は主にです。初感染した猫に接することで人にも感染します。




 の体内ではトキソプラズマは成虫にならないので、便の中に卵が出てくることはなく、感染の原因にはなりません。また、成猫はほとんどの場合、すでに感染しているので、妊娠前から猫を飼っている人は心配ありません。

 しかし、子猫は初感染している可能性がありますので注意が必要です。妊娠したら子猫を飼い始めるのは避けた方がよいでしょう。

 また、生肉や土から初感染することがありますので、妊娠中は生肉は口にせず、ガーデニングなど土いじりはできればしない方がいいでしょう。なお、生の魚は大丈夫です。

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4.後期流産

 後期流産とは、12週以降22週ゼロ日未満に起こる流産です。22週以降の場合は、流産ではなく死産と定義されています。

 何らかの問題を抱える赤ちゃんのほとんどは、妊娠初期の段階で成長を止めてしまいます。

 そのため、初期流産に比べて後期流産が起こる可能性は低く、流産全体の5~10%ほどと言われています。

 それだけに、赤ちゃんを失ってしまったお母さんのショックは計り知れないほど大きく、パートナーや家族の精神的な支えがとても大切です。




 また、後期流産は、赤ちゃんだけではなくお母さん側の原因も少なくありません。原因がわかれば治療して予防が可能の場合もあります。

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5.後期流産の原因

 後期流産で、母体の主な原因には次のものがあります。いずれも早めに治療すれば、赤ちゃんを助けることが可能です。

頸管無力症


 頸管無力症は、後期流産の原因で最も多くみられます。

 お腹に張り(子宮が収縮している状態)がないのに子宮口が開いてしまい、赤ちゃんが娩出されてしまいます。

 14週から20週にかけて起こりやすいと言われています。妊娠後期(28週以降)に起こることもあり、週数によっては赤ちゃんも助かります。

 頸管無力症の原因は、残念ながら西洋医学ではわかっていません。

 しかし、内診や経腟超音波検査などで事前にわかることが多く、防ぐことは可能と言われています。




感染によるもの


 感染によって子宮が収縮したり、破水したりして流産に至る場合があります。

 淋疾クラミジアなどを代表とする性感染症や、一般雑菌(大腸菌など)が子宮の入口に感染すると炎症反応が起こります。

 この反応によってできた炎症物質が子宮収縮を促すようになると、お腹が張って陣痛が起こることがあると言われています。

 病院では、子宮口を消毒して抗生物質と子宮収縮抑制剤を投与します。処置が早ければ赤ちゃんを助けることができます。

 清潔に心がけることと、妊娠前に性感染症がないか検査しておくことも大切です。

子宮筋腫


 わずかですが、筋腫ができている場所や大きさによって、流産の原因となる場合があります。

 「3.初期流産」でお話ししたように、筋腫が流産の原因になるのは、妊娠初期よりも中期の方が多いようです。


赤ちゃん側の原因による後期流産


 妊娠初期よりは少なくなりますが、妊娠中期でも赤ちゃん側の原因によって流産が起こることがあります。

 中でももっとも多い原因は染色体などの異常ですが、そのほかには身体臓器の異常によるものがあります。

 とくに心臓に大きな異常を持っている赤ちゃんは、残念ながら妊娠途中で心不全を起こしてほとんどが亡くなってしまいます。

 妊娠22週以降の赤ちゃんの亡くなる原因でもっとも多いのは、心不全といわれているほどです。

 なぜ、赤ちゃんの体や臓器などに奇形が生じてしまうのでしょうか。

 実は後天的な原因は、薬の副作用やウイルス感染以外、まだわかっていません。

 精子や卵子、あるいは受精卵の先天的な異常が原因では、とも考えられていますがはっきりしたことはわかっていません。

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6.切迫流産とは

 出血や腹痛といった流産の症状がある場合を「切迫流産」と言います。流産が切迫した状態、という意味ではありません。

 超音波検査で赤ちゃんは正常に発育しているけども、出血などの症状がある場合、切迫流産としています。

 適切な対応をとれば流産することはないと言われています。


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7.化学的流産とは

 尿検査で妊娠反応陽性が出たにもかかわらず、超音波で胎嚢が確認できない状態をいいます。

 「3.初期流産の原因」でお話ししましたように、着床前の受精卵の染色体異常は25%あり、その多くは着床前後に自然淘汰されています。

 このため、高感度の妊娠検査薬を毎周期、月経予定日前後に使用すると、一時的に陽性に出ることはよくあると言われています。




 化学的流産は、原則として臨床的な流産には含まれていません。たとえ繰り返してもほとんどの人は出産に至ると考えられています。

 しかし、何度も繰り返した場合、不育症を疑うかどうかはこれからの研究課題とされています。

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第2章 何度も繰り返してしまう流産について

 ようやく妊娠したのに、再び流産してしまった・・・。どうして繰り返し流産してしまうのでしょうか?何か生活習慣に問題があるのでしょうか?仕事で無理をしたからでしょうか?それとも、体質なのでしょうか?

 「妊娠してもまた流産してしまうかも」と不安な方も多いと思います。




 第2章では、「なぜ流産を繰り返すのか?」、「流産を繰り返していても赤ちゃんを授かれるのか?」についてお話ししたいと思います。

1.習慣流産とは

 3回連続して流産することを「習慣流産」、2回繰り返して流産することは「反復流産」といいます。

 習慣流産は赤ちゃんができないという点においては、不妊症と同じと言えます。しかし、不妊症は患者数が比較的多いため、認知度も高く盛んに研究が行われています。

 一方、習慣流産は、妊娠した女性のおよそ600人から700人に一人の割合で起こると考えられており、患者数は決して多くありません。

 そのため、長い間研究が進んでいませんでした。

 1981年にイギリスのグループが習慣流産に対する治療法を発表すると、習慣流産の研究が日本や世界中で急速に進むようになりました。




 その後、日本では2008年(平成20年)に不育症研究班による研究が新たにスタートしました。(流産を繰り返すことを「習慣流産」といいますが、死産や早期新生児死亡などのケースも含めて「不育症」といいます。)

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2.不育症とは

 平成20年度から厚生労働省の子ども家庭総合研究事業の一環として、「不育症」の研究班が立ち上がりました。

 そして、3年間にわたり集中的に研究が行われ、「不育症管理に関する提言」がまとめられました。




 実は、不育症という言葉は、正式な医学用語ではありません。したがってこれまでは、はっきりとした定義はありませんでした。

 そこで、厚生労働省不育症研究班により、不育症とは「2回以上の流産、死産、あるいは、早期新生児死亡の既往がある場合」と定義されました。

 以前は、不育症と習慣流産はほぼ同義とされていましたが、習慣流産には、死産や早期新生児死亡は含まれていません。

 また、不育症研究班による定義では、2回以上の流産で不育症と、やや範囲が広がりました。

 範囲を広めたのには、訳があります。

 胎児心拍確認後の流産は比較的少なく、これを2回繰り返した場合、3回目の流産が起きるまで検査しないのは適切ではないことから、2回以上と範囲が拡大されました。

 また、妊娠10週以降に起きた原因不明の流産、死産は1回でもあれば不育症として扱い、原因究明するよう推奨されています。

 一方、流産、死産でなくとも重症妊娠高血圧症候群により、子供が非常に小さく生まれた場合も、不育症の検査が薦められています。

 なお、化学的流産は、原則として臨床的な流産には含まれません。しかし、何度も繰り返した場合、不育症として扱うかはこれからの研究課題とされています。

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3.流産を繰り返す頻度と妊娠成功率

 流産は大きく分けると2種類あり、1つは病的な流産で、もう1つは病的ではない流産です。

 病的な流産とは、繰り返し流産を起こすような病気(要因)がある場合で、「不育症習慣流産)」として治療が必要になります。

 しかし、このような病的な流産は、実はそんなに頻度は高くありません。多くの流産は、「3.初期流産の原因」でお話ししたような、病的ではない流産(自然流産)です。

 厚生労働省不育症研究班の調査によると、妊娠を経験した全女性のうち、2回連続して流産を経験した人は4.2%でした。妊娠を経験した女性100人中、4人の人が2回連続して流産したことがあったのです。

 また、3回以上流産経験者は、0.88%で約1%でした。つまり、100人中、1人の人は3回連続して流産を経験していたのです。


 では、2回流産した人が病院で何の検査も治療もしないで3回目の妊娠に臨むとどうなるのでしょうか。

 なんと、80~90%の人は流産せず、赤ちゃんを授かっています。

 つまり、2回流産を経験した人の多くは、たまたま自然流産が2回続いただけで、不育症である率はそんなに高くないのです。




 一方、3回流産した人が、病院で何の検査も治療もしないで4回目の妊娠に臨むと、50~60%の人は妊娠に成功し、赤ちゃんを授かっています。

 このように、流産を繰り返している女性の中には、たまたま自然流産を繰り返している人(不育症でない人)も多く含まれています。

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4.不育症のリスク因子と不育症診断の現状

 ここでは、病的な流産のリスク因子(リスクファクター)と病院で行われている不育症検査の現状をお話しします。

 病院では、自然流産が偶然続いただけなのか、それとも、流産を起こしやすい何らかの病気(要因)をもつ「不育症」なのか、その見極めがとても大切になります。

 以下は厚生労働省不育症研究班の多施設研究で報告されたもので、全国の不育症外来で患者さんに不育症検査を行い、そのリスク因子の頻度をまとめたものです。




 流産を引き起こすと考えられているリスク因子は数多くあります。

 しかし、100%必ず流産を起こすような確実なリスク因子は存在しないと言われています。

 また、本当に流産の原因なのか、因果関係が完全に証明されているリスク因子も多くありません。

 そこで、「原因」ではなく「リスク因子」としています。

(1)子宮形態異常 7.8%
(2)甲状腺異常 6.8%
(3)夫婦の染色体異常 4.6%
(4)血液凝固異常
 抗リン脂質抗体陽性 10.2%
 第Ⅻ因子欠乏 7.2%
 プロテインS欠乏 7.4%
 プロテインC欠乏 0.2%
(5)偶発的流産・リスク因子不明 65.3%


 結果を見ると偶発的流産・リスク因子不明が半分以上を占めています。

 これは、病的ではない自然流産を繰り返している人が、多くいることを示しています。

 また、不育症研究班では、検査で異常がなかった人の妊娠成功率は、無治療でも思った以上に高かったと報告しています。

 このように、「異常なし」という診断の信頼性が、徐々に高くなりつつあるのが、不育症診断の現状です。


 では、病院の不育症検査で「異常なし」なのに、なぜなかなか赤ちゃんを授かれない人がいるのでしょうか? 自然淘汰による偶発的流産がなぜそんなに多いのでしょうか?

 そこに流産の根本原因があると東洋医学では考えています。

 「第3章 東洋医学で診る流産の根本原因」で詳しくお話しいたします。

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5.病院で行われる不育症検査

 ここでは、病院でどのような不育症検査が行われているのか、お話ししたいと思います。

 厚生労働省不育症研究班では、「不育症一次スクリーニング検査」として次の項目をあげています。これらは、流産と因果関係が確立しているエビデンスレベルの高い項目です。

・子宮形態異常
・内分泌検査
 甲状腺機能、糖尿病検査
・夫婦染色体異常
・抗リン脂質抗体検査
 抗CL IgG抗体、抗CL IgM抗体




 さらに、「不育症選択的検査」として、次の項目を追加しています。一時スクリーニング検査だけで不育症の診断をするには、項目が少なすぎて無理があります。

 そこで、一次スクリーニング検査ほどはエビデンスレベルは高くありませんが、それに次ぐ検査項目として推奨されています。

・抗リン脂質抗体検査
 抗PE IgG抗体、抗PE IgM抗体
・血栓性素因スクリーニング(凝固因子検査)
 第Ⅻ因子活性
 プロテインS欠乏
 プロテインC欠乏
 aPTT

 では、それぞれの検査項目をみていきましょう。

子宮形態異常


 子宮形態異常があると流産しやすいことが知られています。

 子宮形態を見るための検査は、子宮卵管造影が一般的です。最近では、超音波検査やMRIなどでも診断が可能になってきました。

 では、子宮形態異常にはどのようなものがあるのでしょうか。


 中隔子宮は、外観は正常ですが、内腔に中隔が出っ張っていて、内腔が左右に分かれているものです。

 不育症の中で一番よく見られる子宮奇形です。

 中隔子宮の流産率は約50%と報告されています。子宮形成手術で中隔を切除すれば、妊娠成功率は改善すると言われています。


 双角子宮は、子宮の外観がハート型をしています。

 子宮卵管造影のみでは双角子宮と中隔子宮を鑑別することは難しく、超音波検査などで子宮外観の形を確認します。

 双角子宮は中隔子宮と比べて頻度は稀です。双角子宮は、あまり流産の原因にはならないと考えられています。

 双角子宮の人は逆子になることが多く、帝王切開の時によく見られます。帝王切開のときに双角子宮を見かけるということは流産しなかったということです。

 また、双角子宮の人に子宮形成術をしても、あまり妊娠成功率に差がなかったということが、不育症研究班の研究で分かっています。


 重複子宮は、子宮が左右2つあるものです。

 もともと子宮は胎児のときは左右2つあります。それが真ん中によってきて融合し、生まれた時は1つになります。この過程がうまくいかないと重複子宮になります。

 子宮奇形の程度としては重症かもしれませんが、ここまではっきり子宮が分かれているとかえって流産しにくいようです。


 単角子宮は重複子宮の片側しかないものです。重複子宮同様、中隔子宮よりも流産しにくいと言われています。


 まとめると、子宮奇形の中で流産の原因になることがはっきりしているのは、中隔子宮だけです。また、子宮形成の手術をして有効性がわかっているのも中隔子宮です。

 双角子宮も子宮形成術を行うことは、以前から比較的よく行われてきました。

 これまで、治療として確立していると思われてきましたが、今回の不育症研究班の報告では、双角子宮が流産の原因になるかどうかに関しては否定的で、子宮形成術の有用性についてもエビデンスが得られていないのが現状のようです。

甲状腺疾患


 甲状腺の病気の人が妊娠すると流産しやすいことは、以前からよく知られていました。




 甲状腺ホルモンの値は、血液検査で調べることができます。

 甲状腺ホルモンが出過ぎる甲状腺機能亢進症、出なさすぎる甲状腺機能低下症、どちらも流産と関係すると言われています。

糖尿病


 糖尿病の人も妊娠中のトラブルは多くみられます。また、流産率も高いことが知られています。

 しかし、治療により血糖値がコントロールされていれば、流産の心配は低くなると言われています。

夫婦染色体異常


 染色体は細胞の核の中にあり、DNA(遺伝子)からできています。

 そこには、そのヒトのすべての遺伝情報があります。そして、夫婦のどちらかに「転座」という染色体の異常があれば、流産しやすくなると考えられてきました。




 もちろん転座という染色体の異常は、流産胎児の重篤な染色体異常とは全く異なります。

 健康で普通に社会生活、結婚生活を営んでいるみなさんの染色体で、検査しなければ全く気が付くことのないものです。染色体の検査自体は簡単で、普通の血液検査です。


 転座をもつ夫婦の流産率に関して、長い間報告がありませんでしたが、ここ数年、世界でいくつかの報告がありました。

 そして、驚くべきことに、それらの論文に共通していることは、転座は思ったほど流産の原因にならないというものでした。

 日本でも調査が行われましたが、同様の結果でした。

 習慣流産の既往をもち、夫婦どちらかに染色体転座をもつ不育症カップルが妊娠できる確率は63%でした。

 一方、染色体正常の不育症カップルの場合は、妊娠の成功率は80~85%でした。

 確かに、染色体転座があれば流産しやすくなりますが、転座は思ったほど流産の原因にならない、ということが明らかになりました。

抗リン脂質抗体


 SLE(全身性エリトマトーデス)など、膠原病リウマチといわれる病気の人は妊娠すると流産しやすいということは昔から言われていました。

 これらの病気は免疫のバランスが悪く、いくつもの自己抗体をもつことが多く自己免疫疾患といわれています。

 抗リン脂質抗体はこの自己抗体の1つで、細胞膜を構成する成分であるリン脂質に対する自己抗体です。




 抗リン脂質抗体には何種類もの抗体があります。

 一般に検査されるのは、抗カルジオリピン抗体(抗CL抗体)、ループスアンチコアグラント(LAC)、抗フォスファチジルエターノールアミン抗体(抗PE抗体)です。

 抗フォスファチジルセリン抗体(抗PS抗体)というのもありますが、意味的には抗カルジオリピン抗体(抗CL抗体)とほぼ同じです。

 これらの中で、妊娠初期の流産と最も関係が深いのは、抗PE抗体です。

 抗CL抗体とLACは、妊娠初期だけではなく妊娠中期・後期の子宮内死亡を起こすことが特徴です。


 SLE(全身性エリトマトーデス)の人を調査すると、抗リン脂質抗体を持つ人は流産しやすく、SLEでも抗リン脂質抗体をもたなければ流産率は高くないことがわかりました。

 さらに、膠原病やリウマチでない人でも抗リン脂質抗体が陽性ならば、流産することがわかりました。

 このことから、抗リン脂質抗体が流産の要因であると考えられています。


 抗リン脂質抗体がなぜ流産を引き起こすのか、まだ解明されていない点は多くありますが、一般には胎盤に血栓が作られるためと考えられています(他にも説はあります)。

 抗リン脂質抗体は、血小板を刺激するなどして血栓を引き起こすと言われています。


 胎盤の中では胎児に酸素、栄養を与えるために、血液はゆっくりと流れています。血液の流れが穏やかなところは血栓が作られやすく、胎盤は血栓のできやすい部位といえます。

 もし胎盤に抗リン脂質抗体があると、血液は固まりやすくなり、血栓ができてしまいます。

 すると胎児に酸素と栄養が行き届かなくなり、流産しやすくなると考えられてきました。

 しかし、抗リン脂質抗体の影響については、まだ不明な点が多くあります。


 近年の研究で抗PE抗体(抗リン脂質抗体の1つ)が及ぼす影響について、新たなことが解かってきました。

 子宮内にはキニノーゲンという蛋白質が高濃度に存在します。

 このキニノーゲンには、抗血栓作用(血栓をできにくくする働き)や血流を良くして妊娠を助ける作用があります。また、胎盤形成にも重要な役割をもつと言われています。



 そして、このキニノーゲンに対する抗体が抗PE抗体で、キニノーゲンのもつ作用を阻害することで流産を引き起こすのではないか、ということが解かってきました。

 このように、抗リン脂質抗体の及ぼす影響はだんだんと明らかになってきました。

 しかし、なぜ抗リン脂質抗体がつくられるのか、現代医学(西洋医学)では残念ながらまだわかっていません。

血液凝固異常


 抗リン脂質抗体だけではなく、血が固まりやすい病気の人は流産しやすいことがわかっています。

 日本人の場合、第Ⅻ因子欠乏症プロテインS欠乏症などが高頻度に見られます。プロテインC欠乏症もありますが、これは比較的稀です。

 初期流産を繰り返すタイプの不育症によくみられるのは、第Ⅻ因子欠乏症です。

 第Ⅻ因子欠乏症については、次の「第Ⅻ因子欠乏症における近年の研究報告」で詳しくお話しします。


 プロテインSとプロテインCは、血液が固まらないようにする抗凝固因子です。

 したがって、これらの抗凝固因子が欠乏すると、血液が固まりやすくなり血栓不育症の原因になります。


 プロテインS欠乏症は、日本人では約2%、プロテインC欠乏症は0.13%と報告されています。

 病院での治療は、血栓をできにくくするアスピリン療法ヘパリン療法がおこなわれています。

第Ⅻ因子欠乏症における近年の研究報告


 第Ⅻ因子は血液凝固因子の1つで、欠乏すると血栓症を起こすことが知られ、流産の原因になると長い間信じられてきました。

 しかし、流産との関係性については否定的な報告もあり、いまだに国際的に意見の一致をみていないのが現状です。

 日本人は、白人と比べて生まれつき第Ⅻ因子が少ない人が多いことが知られています。

 しかし、遺伝的に第Ⅻ因子が少ない人でも、流産の頻度はそれほど高くないことが報告されています。

 また、生まれつき第Ⅻ因子をもたないマウスを作成しても、流産は起きないこともわかり、第Ⅻ因子欠乏症だけでは、流産の原因と言えないことが明らかになりました。

 そして、近年、新たに第Ⅻ因子に対する抗体が発見されました。




 この抗第Ⅻ因子抗体は、第Ⅻ因子の活性を下げてしまいます(第Ⅻ因子の働きを妨げてしまいます)。

 このため、検査上(数値上)、第Ⅻ因子欠乏症と捉えられていたのです。


 流産の本当の要因は、第Ⅻ因子欠乏症ではなく、抗第Ⅻ因子抗体であることが明らかになりました。

 しかし、なぜ、抗第Ⅻ因子抗体がつくられるのか、西洋医学ではまだわかっていません。

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6.不育症検査から除外された検査項目

 以前は不育症検査として行われることが多かったプロラクチン検査黄体機能検査ですが、厚生労働省不育症研究班の提言では、これらは不育症の直接の原因ではないとして、検査項目から除外されました。

高プロラクチン血症

 
 プロラクチンとは母乳を出すホルモンです。血中プロラクチン値は血液検査で簡単に調べられます。

 出産後の授乳中のお母さんは、プロラクチン値が高くなります。

 また、プロラクチンは母乳を出す以外に排卵、月経を止める働きがあります。

 これは、出産後、授乳中にすぐに次の妊娠をすることがないようにです。

 このプロラクチンが、妊娠をしていないのにたくさん分泌されてしまうのが高プロラクチン血症です。

 その場合、排卵、月経が止まってしまい、不妊の原因になります。


 また、高プロラクチン血症は不妊の延長線上で流産の原因にもなると思い込まれてきましたが、実はそのようなことは証明されていません。

 そもそもプロラクチンは、妊娠すると分泌が亢進し、妊娠中は非妊娠中の10倍にもなります。

 妊娠中からプロラクチンが乳腺に働き、母乳を出す準備をしているからです。

 したがって、妊娠中にプロラクチンがたくさん出るのは正常なことであり、プロラクチンが流産を引き起こすという説には矛盾があると言われています。

 最近では逆に、プロラクチンはむしろ妊娠維持に必要なホルモンであるという研究報告もあります。

黄体機能不全


 黄体機能不全も、プロラクチンと同様、以前は不育症の検査の一つとして行われることが多くありました。

 厚生労働省不育症研究班の提言では、これも不育症の直接の原因ではないということで、検査項目からはずされました。


 排卵した後の卵巣にできるのが黄体です。この黄体から分泌されるホルモンを黄体ホルモンといいます。

 このホルモンは子宮内膜に作用して、内膜を着床に適した状態にする重要な役割を果たしています。

 したがって、このホルモンの分泌が悪いと、受精卵がきても着床できず、不妊の原因になります。

 また、着床はできても妊娠維持ができず、流産の原因になると長い間考えられてきました。

 しかし、黄体機能不全が本当に不育症の原因になるのかに関しては、実は証明されていません。


 そもそも妊娠していない月経周期(高温期)の黄体ホルモンを検査しても、それが妊娠したときの黄体ホルモンの分泌と同じであるという確証はないのです。

 妊娠していない周期の高温期をいくら調べても、妊娠時の黄体ホルモンの分泌を反映していないので、意味はないと考えられています。

 妊娠が成立すると妊娠黄体ができ、普段の月経黄体とは異なる黄体ホルモンの分泌が起きます。

 したがって、非妊娠時の高温期に検査をして黄体機能不全と診断した場合、それが不育症の原因であるかは不明です。

 因果関係を否定する論文も数多くあります。

 黄体機能不全と診断された不育症患者で、黄体ホルモンを補充しなくても、次回妊娠の成功率に差が出なかったという論文も報告されています。


 もちろん黄体が妊娠維持に必須であることは間違いありません。

 ただし、上記のような方法で黄体機能不全と診断した場合、それが流産の原因であるとは言えないのです。

 妊娠初期に黄体ホルモン値を調べ、低値であった場合は、受精卵が何らかの理由で育っていないから低値なのです。

 黄体ホルモンを補充すれば、妊娠が継続できる訳ではないのです。

 このような経緯から、黄体ホルモンは不育症の検査項目から除外されました。

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第3章.東洋医学で診る流産の根本原因

 ここまで、流産の要因や病院で行われている不育症(習慣流産)検査と治療の現状をみてきました。

 繰り返し流産を起こす要因として、内分泌系異常夫婦染色体異常抗リン脂質抗体血液凝固異常などの病気や症状があります。

 しかし、これらがあるからと言って必ず流産になる訳ではではありません。

 また、厚生労働省不育症研究班の調査によると、全国の不育症外来で検査を受けた患者さんの約65%は、偶発的流産・リスク因子不明(異常なし)だったと報告されています。

 偶発的流産とは、受精卵の染色体異常による自然流産です(「第1章 3.初期流産の原因」)。

 不育症(習慣流産)ではない自然流産を繰り返している人が、これだけ多くいるのです。




 異常をもつ精子卵子が受精すると、受精卵も染色体異常を有することになり、自然流産に繋がると考えられています。

 しかし、異常な精子卵子が作られる原因は、残念ながら現代医学(西洋医学)ではまだ解明されていません。

 たとえ、正常な卵子と精子が受精しても、それぞれの核が合体する過程で何らかの異常が受精卵に生じることもある、と言われています。

 妊娠の超初期については、西洋医学でも未だわからないことが多いのです。




 精子や卵子の異常が、なぜそんなに高い頻度で起きるのでしょうか?
 病院の検査で「異常なし」なのに、なぜ赤ちゃんを授かれない人がいるのでしょうか?
 なぜ、不育症(習慣流産)の要因となる病気が引き起こされるのでしょうか?

 そこに、流産の「根本原因」があると東洋医学では考えています。

 では、流産の根本原因についてお話ししていきたいと思います。

1.東洋医学における「冷え」の本質

 東洋医学では昔から「冷えは万病のもと」と言われてきました。

 近年、西洋医学の分野でも「冷え」と病気の関係について注目され、免疫力や生殖機能の低下、また、自律神経の乱れなど身体の大切な機能の低下が「冷え」と関係しているといわれるようになってきました。

 西洋医学でいう「冷え」とは、「体温が1度下がると免疫力は30%低下する」と言うように、「低体温である」、「手足が冷たい」などというような「冷熱」の冷えを指しています。

 一方、東洋医学における「冷え」は、温度感覚の冷えだけではなく、実はもっと大きな意味があるのです。

 では、東洋医学における「冷え」について、詳しくお話ししたいと思います。




(1)生理的な冷え


 人は誰でも「精気」を持ってこの世に生を受けます。

 精気とは生まれ出た時にそのヒトに与えられた生命の根元です。




 科学的な言葉で言い換えるならば、生命力やエネルギーというとわかりやすいでしょうか。

 そして、人は日々ほんの少しずつこのエネルギー(≒精気)を使いながら暮らしています。

 年齢とともに、非常にゆっくりとエネルギーは低下していきます。

 エネルギーが減っていくことで、体の様々な機能がゆっくりと衰えていきます。

 そして、エネルギーを使い切ると、人は寿命を迎えます。

 東洋医学では、「エネルギー(≒精気)が減少して、体の機能が本来の働きをしなくなっていくこと」を「体が冷える」といいます。

 そして、寿命を迎えるとすべての機能が停止して、体はまさに冷たくなります。

 これは、すべての人に起こる「生理的な冷え」で、誰も避けては通れないものです。

 生まれた瞬間からとてもとても僅かですが、「生理的な冷え」は始まります。




 仮に冷えが「生理的な冷え」だけであるならば、そのヒトはいわば健康的に老衰して寿命を迎えることになります。

 心身が健康ならば、エネルギー(≒精気)は120歳ぐらいで尽きると言われています。ちなみに、現在日本人の平均年齢は84歳(2015年WHO 発表)、最高齢は117歳です。




(2)病的な冷え


 しかし、人生では、往々にして、途中で余分エネルギー(≒精気)を消耗するようなことが生じます。仕事のし過ぎや、過度のストレス、食べ過ぎや飲み過ぎ、あるいは、事故などで外傷を受けた時などです。




 これらが要因となって、エネルギーの低下を増長させ、「生理的な冷え」とは異なる「病的な冷え」を生じます。

 そして、だんだんと不快な症状が現れてきます。初めは軽い肩こりや腰痛、むくみ、軽度な月経痛などの不調です。

 無理をしなければ、いつの間にか治ってしまう症状です。

 ところが、無理が続きエネルギーの減衰が大きくなってくると、慢性的な肩こりや腰痛、手足の冷えや頭痛、イライラ、倦怠感などの自律神経症状、重い月経痛や月経不順、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患、不妊、流産など様々な症状があらわれます。




 さらに「病的な冷え」が強くなると、不育症(習慣流産)とも関連するSLE(全身性エリテマトーデス)などの膠原病や糖尿病など、現代医学でも治療が難しい病気を招くことになります。




 このように病気や悩ましい症状を引き起こすことになる「エネルギー(≒精気)の低下」を「病的な冷え」といいます。

 これが、東洋医学における「冷え」の本質で、病の根本原因となる「根元的な冷え」です。


 特に現代の女性は家庭と仕事の両立など、生活の多様化によるストレスで、「根元的な冷え(病的なエネルギーの低下)」が生じやすくなっていると言われています。

 では、なぜ「根元的な冷え(病的なエネルギーの低下)」が生じると、流産や不妊をはじめとする、色々な症状や病気を招くことになるのでしょうか?

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2.新しい生命を育む力

 本来、人の体には自己治癒力という素晴らしい力が備わっています。

 自己治癒力とは、ウイルスなどの外敵を退治して病気を治す免疫力、細胞を新しく作り替える再生力、自律神経のバランスを整える調整力、そして、新しい命を授かる妊娠力などをいいます。

 健康に暮らし、新しい生命を育むために必要な力を総称して、自己治癒力と言います。




 そして、自己治癒力(妊娠力など)は、命の根源であるエネルギー(≒精気)を元にして、24時間、365日休むことなく体を健康に保っています。

 すべての人の体に備わっているこの力は、とても素晴らしいものです。

 薬も病院もない時代から人々が生き延び、新しい命を授かってきたのは、ひとえにこの自己治癒力があったからです。

 では、自己治癒力について、もう少し詳しく見ていきましょう。

自己治癒力とは


 妊娠の成立には、規則正しい月経と排卵、ホルモン分泌が大きく関わっています。

 これらを司る中枢は脳の視床下部にあり、日々コントロールしています。

 そして、妊娠の一連の流れがスムーズに行われるには、力が必要です。

 ただ単にホルモンが分泌されれば、健康な卵子がつくられ、排卵が起き、子宮内膜が育ち、受精卵が着床して妊娠が成立するわけではありません。

 もし、そうであるなら、流産はもっと減ることでしょう。

 卵巣に蓄えられている卵胞(らんぽう)を成熟する力、健康な卵子をつくる力、子宮内膜をふかふかに育てる力、元気な精子をつくる力、ホルモンの分泌をコントロールする力、そして、着床した受精卵を健やかに育んでゆく力、これらすべての力が妊娠には不可欠です。

 どれか一つ欠けても妊娠は成立しません。

 これらの力が、東洋医学における「妊娠力(自己治癒力)」です。




 妊娠力(自己治癒力)は数値や画像では表せない、みなさんの身体に備わっている根元的な力です。

 生命力を考えてみましょう。この先科学が発展し、人の臓器や筋肉、骨、皮膚、血液などすべて必要なものを人工的に作れたとします。しかし、それだけでは、人は絶対に生きていけません。

 健康な身体と「生命力」があってはじめて、生命活動を営むことができます。

 同様に妊娠も、「妊娠力(自己治癒力)」が働いてはじめて成立するのです。


 また、良質な卵子精子が作られるには、卵巣や精巣が健康で本来の働きをしていることも大切です。

 そして、卵巣や精巣を健康な状態に保っている力が、「再生力(自己治癒力)」です。

 私たちの身体は、約60兆個の細胞から成ります。卵巣や精巣などの内臓、骨や筋肉、皮膚、血液中の白血球や赤血球、卵子と精子も細胞から成ります。

 そして、細胞は、再生力(自己治癒力)によって毎日新しく生まれ変わっています。なんと、一晩で1兆個の細胞が作り替ると言われています。




 内臓は約1年ですべての細胞が新しくなります。もちろん、卵巣や精巣などの生殖器も日々新しい細胞に作り替えられています。

 元気な細胞に生まれ変わることで、卵巣や精巣の機能は保たれ、健康的な卵子精子が作られます。

 そして、良質な卵子と精子が出会うことで、正常な受精卵ができるのです。

 もし、この再生力(自己治癒力)がなければ、細胞はどんどん老化し、卵巣や精巣の働きは弱まってしまうことでしょう。

 みなさんの身体には、正常な卵子精子をつくるために、卵巣や精巣を健康な状態に保つ、再生力(自己治癒力)という力が備わっています。


 私たちには「病気を予防して治す」という「免疫力(自己治癒力)」も備わっています。

 私たちの周りはウイルスや細菌などの外敵でいっぱいです。

 しかし、普段は、外敵が体内に入ってこないように喉や鼻、生殖器の粘膜上で防御する機能が働いています。




 万が一、体内に侵入されても白血球などによって外敵を退治して、病気を治していくシステムがみなさんの身体には備わっています。

 これを「免疫力(自己治癒力)」と言い、普段、ウイルスや細菌が侵入しないように粘膜上で防御したり、もし侵入されても白血球などの免疫システムが働くことで菌から体を守っています。

 流産を招くと言われているサイトメガロウイルスや、淋疾、クラミジアなどの性感染症、一般雑菌(大腸菌など)から受精卵を守っているのも免疫力です。


 また、私たちには、自律神経というとても大切な神経もあります。

 自律神経は、体の働きを調整する神経で、無意識にしている呼吸、循環、消化、睡眠、体温調整などを司っています。

 女性ホルモンの分泌にも深く関わっています。

 自律神経を司る中枢は、脳の視床下部というところにあり、2つの自律神経(交感神経と副交感神経)がバランスよく働くようにコントロールしています。

 そして、コントロールするには力が必要です。

 「調整力(自己治癒力)」とは、「自律神経をバランスよくコントロールする力」のことです。




 もし、調整力(自己治癒力)がなければ、自律神経のバランスが一度乱れただけで、ホルモン分泌に影響を及ぼし妊娠しにくくなってしまう、ということにも成りかねません。

 一時的に自律神経のバランスが崩れたとしても、それを戻す力が皆さんの身体には備わっています。


 このように自己治癒力は、心とからだの健康を保ち、赤ちゃんを授かり育んでいくために、なくてはならないとても大切な力です。

 これは、昔も今もかわることなく皆さんのからだに備わっている力です。

 では、なぜ流産を起こしてしまうのでしょうか?

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3.流産の根本原因

 自己治癒力(妊娠力など)は、命の根源であるエネルギー(≒精気)を元にして、365日、24時間休むことなく体を健康(妊娠できる状態)に保っています。

 ところが、先述のように仕事などの無理が続いたり、過度のストレスを受け続けたりすると、「根元的な冷え(病的なエネルギーの低下)」が生じ、自己治癒力は一時的に低下してしまいます。




 例えば、現代女性に増えている、ストレスから生じる「冷え」について考えてみましょう。

 仕事や家事で無理をしたり悩み事などのストレスを抱えると、「根元的な冷え(病的なエネルギーの低下)」が起こります。




 「根元的な冷え」が生じると、一時的に自律神経の調整力(自己治癒力)は低下し、自律神経のバランスに偏りが生じます。

 交感神経が緊張して、副交感神経の働きは抑制されて血管が収縮し、血流が悪くなります。

 血流が悪くなると、手足の冷えなどの症状があらわれます。

 なぜなら、体温は主に内臓でつくられ、血流にのって全身に運ばれているからです。

 このとき、休息をとったり気分転換などをすれば、やがて「根元的な冷え」は解消されて、自律神経を調整する力(自己治癒力)は回復します。




 そして、調整力(自己治癒力)によって、自律神経のバランスは整ってきます。

 すると、副交感神経の働きが優位となり、血管は拡張して血行は戻り、手足の冷えなどの症状は治ります。

 ところが、無理や悩み事を抱え続けると、「根元的な冷え(病的なエネルギーの低下)」はますます強くなります。

 その結果、調整力(自己治癒力)はさらに低下し、交感神経は過緊張に陥り、自律神経のバランスは慢性的に崩れてしまいます。




 自律神経の乱れはホルモン分泌に影響を及ぼします。

 ホルモンが正常に分泌されなくなると、卵巣や精巣の機能は低下し、卵子精子の質も低下してきます。

 その結果、染色体などの異常を持った受精卵ができてしまい、流産を招くことになるのです。

 さらに、ホルモンバランスの乱れは、受精卵が着床する子宮内膜の成長に影響を及ぼします。

 一般に、ストレスは妊娠に良くないと言われるのは、このような理由からです。


 また、「根元的な冷え」は、妊娠力(自己治癒力)も低下させてしまいます。

 健康的な受精卵がつくられ子宮内膜に着床し成長していくには、妊娠力(自己治癒力)が欠かせません。

 ただ単にホルモンや栄養が足りていれば、妊娠するわけではありません。

 妊娠力(自己治癒力)があるからこそ、健康な卵子をつくり、子宮内膜をふかふかに育て、そして、子宮内膜に着床した受精卵を育むことができるのです。


 また、卵巣や精巣が健康で、しっかり機能する状態であることも大切です。

 私たちの体の細胞は、再生力(自己治癒力)によって、毎日新しく生まれ変わっています。

 卵巣や精巣など生殖器の細胞も日々作り替えられることで、健康な卵子や精子をつくる機能を保っています。

 良質な卵子精子が出会うことで、正常な受精卵となります。

 しかし、再生力(自己治癒力)が弱まると、元気な細胞に生まれ変われなくなり、卵巣や精巣の機能が徐々に低下してきます。

 その結果、異常を持った卵子精子が作られる頻度が高くなってしまうのです。


 また、健康な細胞に生まれ変わるためには、新鮮な酸素と栄養が必要です。これを1つ1つの細胞に運んでいるのは血流(≒気血の流れ)です。

 ところが、体が冷えて血行が悪くなると、十分な酸素や栄養が届かなくなり、健康な細胞に再生されにくくなります。



 妊娠力や再生力(自己治癒力)の低下が軽度のうちは、病院で検査しても何の異常も見つからない、偶発的流産(自然流産)、あるいは、リスク因子不明(原因不明)と診断されることもあるでしょう。

 しかし、これは検査結果にあらわれないだけであって、妊娠力や再生力(自己治癒力)が少しずつ低下しているのです。

 東洋医学でいう「未病」の状態、つまり、見た目は健康(検査では異常なし)でも、妊娠する力が弱ってきている状態と言えます。




 このように、「根元的な冷え」により妊娠力や再生力(自己治癒力)が低下してしまうと、異常を持った卵子や精子が作られる頻度は高くなり、その結果、偶発的流産(自然流産)を起こす可能性も高まるのです。



 流産の要因になる、クラミジア菌などの感染症も同様です。

 私たちは普段、細菌やウイルスに囲まれていますが、生殖器や、鼻やのどにある粘膜上の免疫力(自己治癒力)が、外敵の侵入を防いでいます。

 一般に、クラミジア菌は感染力が弱いと言われており、たとえ、体内に侵入されても、白血球などの免疫力(自己治癒力)が菌を退治してやがて自然治癒すると言われています。

 ところが、「根元的な冷え」が生じると免疫力(自己治癒力)は弱まり、菌が体内に侵入してきて胎児に影響を及ぼすことがあります。




 クラミジア菌などの感染症から起こる流産の根本原因は、「冷え」による免疫力(自己治癒力)の低下なのです。

 また、流産を招く抗リン脂質抗体などの自己抗体も、免疫力(自己治癒力)が低下したことで、免疫システムのバランスが崩れ、正しく機能しなくなるために起こると考えられています。


 近年増えてきた子宮筋腫も、「冷え」が原因です。

 東洋医学では、筋腫は「しこり」と診ます。しこりは、熱源・栄養源である「血(けつ)」の流れが 長期間停滞することにより形成されていきます。 
 
 つまり、筋腫(しこり)は、熱の塊です。

 体温は血流によって全身に運ばれていることからも、血(けつ)が停滞することでできる筋腫は、熱の塊であることがわかっていただけると思います。

 では、なぜ筋腫(=熱の塊)が体内に形成されるのでしょうか? 

 それは、体の芯が冷えているからです。

 これ以上冷やさないように筋腫(=熱の塊)ができてしまうのです。

 子宮筋腫の根本原因は冷えなのです。

 また、流産の要因となる血液凝固異常も、「血(けつ)」との関連が深い病です。


 このように、「根元的な冷え」が生じると自己治癒力が徐々に低下し、卵子や精子の異常を招いたり、流産の要因になる病気や症状をひき起こすことになります。

 つまり、流産の根本原因は、冷えによる自己治癒力の低下なのです。


 あらわれる病気や症状は、そのヒトの体質、生活習慣、生活環境などの背景により様々です。

 重要なのは、流産の根底には「根元的な冷え」があるということです。

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第4章 流産予防の鍼灸ケア

 病院では、薬物療法など西洋医学が得意とする治療が施され、流産を乗り越え妊娠に至る人がいます。

 一方、不育症や習慣流産の要因になっている病気の治療をしても、妊娠によいと言われることを色々試しても、効果があらわれない人もいます。

 また、病院の検査で「異常なし」でも、流産を繰り返してしまう方もたくさんいます。

 この違いはいったい何なのでしょうか?

 それは、そのヒトの自己治癒力の強さによるのです。




自己治癒力の強さとは?


 自己治癒力(妊娠力や再生力など)がしっかり働いているヒトは、自然に妊娠していかれます。

 自己治癒力の低下が軽度であれば、薬の助けを借りながら、不育症や習慣流産を上手に克服して、赤ちゃんを授かることができます。自然流産を経験しても、次の妊娠が期待できます。

 しかし、冷えが強まり、自己治癒力(妊娠力や再生力など)がさらに低下してしまうと、いくら病院で薬物療法を受けても、流産を繰り返してしまうことがあります。

 また、流産予防によいと言われることを色々と試しても、効果があらわれないこともあります。

 なぜなら、薬物療法などは、流産の可能性を軽減するものであって、流産の根本原因(=冷え)を解消し、自己治癒力を回復するものではないからです。


 薬物療法は不育症(習慣流産)の要因となる血栓をできにくくしてくれます。

 もちろん、妊娠の可能性を高めてくれる素晴らしい医療です。

 しかし、たとえ血栓ができなくても、妊娠力や再生力(自己治癒力)が低下していては、赤ちゃんが宿るのは難しくなります。

 健康な卵子と精子が作られ、正常な受精卵ができ、妊娠が成立するか否かは、そのヒトの力、つまり妊娠力や再生力(自己治癒力)にかかっているのです。





 流産を招く他の病気も同様です。

 冷えが強くなり免疫力(自己治癒力)が低下してしまうと、クラミジア菌などの感染症にかかり、流産を引き起こすこともあります。

 また、免疫力の低下によって、免疫システムがバランスを崩し、抗リン脂質抗体などの自己免疫疾患を招くこともあります。

 ここまで、低下してしまった自己治癒力は、ご自身の努力だけでは回復が難しい場合があります。

 そんな時、鍼灸自己治癒力がきちんと働くように手助けをします。




冷えをとり流産を予防する鍼灸治療


 東洋医学に基づく鍼灸治療は、はりとお灸で、気血のめぐりを良くして「冷え」をとり、低下してしまった自己治癒力の回復を導きます。

 からだのすみずみに新鮮な血液が行きわたり、温かなからだになり、本来の自己治癒力(妊娠力や再生力など)が戻ってきます。

 卵巣や子宮、精巣に十分な酸素と栄養が届き、新しい元気な細胞に生まれ変わります。

 卵胞が成熟して良質な卵子が育ち、子宮内膜はふかふかベッドのような厚さとやわらかさが保たれ、受精卵(胞胚)が着床しやすい環境が整います。

 精巣では運動性の高い精子がつくられるようになります。

 また、流産の要因となる病気にも強い身体へ改善されていきます。





 そして、流産予防には、心をリラックスさせることもとても大切です。

 深く思い悩んだり、ストレスを抱えていると交感神経が過剰に働き、血管が収縮して体が冷えてきます。

 鍼灸は、血管の収縮と拡張をコントロールしている自律神経にもアプローチするので、交感神経と副交感神経のバランスが整い、血行が改善されてきます。

 また、自律神経が深く関与している、女性ホルモンもバランスよく分泌され、健康な卵子が育ち妊娠の可能性が高まります。

 近年、アメリカの研究で、鍼による皮膚刺激が知覚神経を通して、脳の視床下部に届き、自律神経系の働きを調整することが解かってきました。

 鍼灸治療がなぜ流産予防によいのか、科学的にもわかってきたのです。


 鍼灸治療には、精神安定作用があることも明らかになっています。

 鍼灸治療によりリラックス作用のあるエンドルフィンやエンケファリンなどのホルモンが分泌されることがわかり、今注目されています。

 心とからだが元気になる鍼灸ケアは、赤ちゃんを授かるのにとても適した治療法です。


 もちろん、病院で受ける治療に鍼灸治療を併用すると、とても効果的です。

 東洋医学と西洋医学、それぞれ、赤ちゃんを授かるためにできることがあります。

 病院で施される薬物療法は、血栓を予防するなど妊娠の成立をサポートしてくれる、すばらしい医療です。

 そして、東洋医学に基づく鍼灸治療は、流産の根本原因(=冷え)を解消し、自己治癒力(妊娠力など)を高める医術です。

 自己治癒力が回復すれば、病院で施される治療の効果は大いに発揮され、妊娠の可能性はさらに高まります。




 一般に、自然流産は染色体異常なことが大半なので、予防法はないと言われています。

 しかし、鍼灸治療で冷えをとり、卵巣精巣の働きを高め、そして、母体である子宮の機能を向上させることが、流産の予防につながると考えます。

 不育症(習慣流産)でお悩みの方も、免疫力血液凝固など、本来、体に備わっている機能を正常な状態に導くことで、妊娠の可能性はさらに高くなると考えます。


 流産経験のある方が鍼灸院をおとずれ、多くの人が自己治癒力を回復することで妊娠されていきます。

 はなもも鍼灸治療院では、「流産の根本原因(=冷え)を解消し、自己治癒力を高めて妊娠を導く」という根本治療を行っています。

 また流産するのではと不安を抱いている方、繰り返し流産を経験している方、不育症(習慣流産)治療中の方、ぜひ一度、はなもも鍼灸治療院へご相談ください。

 冷えをとり、体の働きを最大限に高めれば、きっとかわいい赤ちゃんに恵まれることでしょう。




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引用文献 小林詔司:「積聚治療」医道の日本社、杉俊隆:「不育症学級」金原出版、藤井和行:「流産 もう1人で苦しまないで」東京図書 

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