男性不妊の原因と自律神経の関係
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男性不妊の原因と自律神経の関係

近年、なかなか赤ちゃんに恵まれないカップルが増加傾向にあり、その原因が男性側にあることも多いと言われています。

ここでは、男性不妊と自律神経の関係性、そして、鍼灸治療の有効性について、東洋医学と西洋医学の知見を交えながら、わかりやすくお話ししたいと思います。

もくじ

下線部分をクリックすると、ご覧になりたい章に移動します。

1.男性不妊の現状
2.男性不妊の多くは原因不明??
3.精子をつくるしくみ(造精機能)
4.ホルモンの働き
5.自律神経は生殖機能をコントロールしている
  自律神経とホルモン分泌の関係
  造精機能に影響する自律神経
  精子を送り出すしくみ(性反射)と自律神経
6.自律神経失調症が招く男性不妊
7.男性不妊の鍼灸治療

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男性不妊の現状

 国内では6組に1組のカップルが不妊に悩み、約50万人がなんらかの不妊治療を受けているとされています。

 世界保険機構(WHO)によると、不妊の原因のほぼ半分男性にもありますが、男性の受診率は女性に比べて少ないのが現状です。

 国は2016年1月、無精子症などの男性を対象に不妊治療費の助成する制度を始めました。

 これを受けて助成の窓口となっている都道府県と政令市、中核市の計114自治体にアンケートしたところ、「自分が原因と考えていない男性が多く、女性だけが治療を繰り返している。男性不妊症は社会に浸透していない」との声が多く寄せられました(2017年6月13日毎日新聞より)

 男性の不妊症に理解が広がらないのは、なぜでしょう?

 一番の要因は「不妊の原因は女性」という思い込みから、と言われています。

 先述のように不妊の半分男性にも原因があることがわかっています。

 正常な精子が全く見当たらない「無精子症」は、男性の100人に1人いると言われています。

 男性不妊症は、身近な問題です。

 「自分は違う」と信じている人や、結果が不安で、検査に二の足を踏む人も多いのかもしれません。

 しかし、不妊治療の効果は高齢になるほど低くなります。

 妊活・不妊治療は、男女両方が協力して同時に取り組むことがとても大切です。

 二人で一緒に取り組めば、妊娠の可能性はさらに高くなります。


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男性不妊の多くは原因不明??

 男性不妊の90%以上は精子をつくる機能に問題がある、造精機能障害であることがわかっています。

 造精機能障害とは、精子の形成や成熟ができないことで、精子の状態によって無精子症、乏精子症、精子無力症、奇形精子症の4つがあります。

 無精子症:精液中に精子が存在しない。
 乏精子症:精子の濃度が1500万未満/ml。
 精子無力症:前進する精子が40%未満。
 奇形精子症:正常精子が40%未満。
 
 そして、その約60%は、病院で検査してもなぜ精子に異常が発生しているのか、原因がわからない突発性造精機能障害です。

 年々、原因不明の男性不妊は増加傾向にありますが、この多くは、自律神経の乱れ(自律神経失調症)と関連していると考えられます。
  
 では、精子が作られるしくみ(造精機能)と自律神経の関係をみていきましょう。

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精子をつくるしくみ(造精機能)

 男性のからだには、精子をつくるための生殖器が備わっています。

 その中心になる器官が陰嚢に包まれた精巣です。精巣は、多数の精細管からなり、この中で精子がつくられています。

 精細管には、精子の元となる精祖細胞と、精細胞に栄養を与えて育てるセルトリ細胞があります。

 また、多数の精細管の間には、ライディッヒ細胞が大小の集団をつくり散在し、ここでテストステロン(男性ホルモン)が生成・分泌されていいます。テストステロンについては、後ほどお話しします。

 この精細管の中で、毎日3000万~2億個の精子が作られています。

 精巣でつくられた精子は、精巣上体を数日間かけて通過して受精する能力を身につけ、成熟精子となり、精巣上体に蓄えられます。

 精子の元となる精祖細胞から成熟精子へと成長する期間は、74日と言われています。

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ホルモンの働き

 精子が作られる造精の過程では、ホルモンが重要な役割を果しています。

 「ホルモン」という言葉はよく聞きますが、そもそもどのようなものなのでしょうか?

 ホルモンとは内分泌腺から血液中に分泌され、血液循環を介して、特定の器官に仕事をするように働きかける物質です。メッセンジャーなどとも呼ばれています。

 内分泌腺には、視床下部(脳の一部)や甲状腺、精巣、卵巣などがあります。そして、ホルモンにはたくさんの種類があり、働きかける器官も決まっています。

 精子が作られるのも、特定ホルモンが血流にのって精巣に届くからです。

 精巣が勝手に精子をつくっているのではなく、脳からの指令、つまり、脳から分泌されたホルモンが精巣に届いてはじめて精子が作られます。

 では、精子が作られるまでのホルモンの流れをみてみましょう。


 まず、視床下部(脳の一部分にある内分泌線)から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(ゴナドトロピン放出ホルモン)が分泌されます。

 このホルモンは特に重要です。精子をつくるきっかけとなる、最初のメッセンジャーです。

 このホルモンは、血流にのって、下垂体(脳の一部分)というところに届きます。すると、下垂体は、FSH(卵胞刺激ホルモン)LH(黄体形成ホルモン)を分泌します。


 この2つのホルモンは、女性の生殖機能(月経や妊娠)に関与するような命名がされていますが、男性の生殖機能にも関与するとても重要なホルモンです。

 下垂体から分泌されたFSH(卵胞刺激ホルモン)は、精細管の中のセルトリ細胞に作用して、精子の形成を促します。FSHが、精細管精子を作るように働きかけているのです。

 一方、LH(黄体形成ホルモン)は、精巣の中にあるライディッヒ細胞に作用してテストステロン(男性ホルモン)の生成と分泌を促進します。

 分泌されたテストステロンは、精細管の中にあるセルトリ細胞に作用して精子形成を促進します。

 テストステロンはこの他にも、男性生殖器(前立腺、精嚢)の機能を維持したり、性欲を亢進させるなど、妊娠にとってとても大切な役割を持つホルモンです。

 このように、多くのホルモンが造精機能にかかわっています。

 そして、このホルモン分泌自律神経にはとても深い関係があります。

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自律神経は生殖機能をコントロールしている

 自律神経とは、心臓や消化器を動かしたりする神経で、日常無意識に行っている呼吸、消化、循環、排泄、生殖、睡眠、体温調整などをコントロールしています。

 自律神経は、生命活動を維持したり、生殖機能を調整しているとても大切な神経です。


 自律神経には、交感神経副交感神経という2つの神経があります。

 この2つの神経は、アクセルとブレーキのように正反対の働きをします。

 例えば、副交感神経は、血管を拡張して血流を良くします。一方、交感神経は、血管を収縮して血行を緩やかにします。

 また、仕事やスポーツなどの活動時には交感神経の活動が高まり、血圧が上昇し、心機能が高まり、消化器の機能は抑制されます。

 休息や睡眠をとるときには、副交感神経が優位に働き、心臓の働きは静まり、消化機能が活発になります。

 このように2つの自律神経が、バランスをとりあって、身体の機能を安定的に調整しています。

 健康な日々を過ごすには、正反対の働きをする交感神経副交感神経バランスが保たれていることが大切です。

自律神経とホルモン分泌の関係

 この自律神経をコントロールする中枢は、脳の視床下部というところにあります。

 ここには、先述のようにホルモンの分泌中枢もあります。精子をつくる、最初のメッセンジャー(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)を分泌する中枢が、視床下部にあります。

 さらに、怒り・不安感などの情動中枢視床下部にあります。

 しかも、この3つの中枢(自律神経、ホルモン分泌、情動)は近接していて、密接に連動しています。

 身近な例では、驚いたときや緊張したときは、交感神経が亢進して、心臓がドキドキします。緊張から解放されたときには、副交感神経が優位に働き、心拍が下がり気持ちは落ち着きます。

 このように3つの中枢(自律神経、ホルモン分泌、情動)は協調しながら、生命活動や生殖機能、感情を調整しています。

 このため、自律神経の乱れが、ホルモンの分泌、つまり、造精機能に影響が及び、男性不妊を招くことがあります。

造精機能に影響する自律神経

 自律神経のメカニズムからすると、交感神経は昼、副交感神経は夜、働くのが正常といえます。

 ところが、仕事などで夜更かしが続いたり、悩みや心配事などのストレスが続くと、交感神経過緊張に陥り、副交感神経の働きが抑制されて、自律神経はバランスを崩してしまいます。




 自律神経が乱れると、ホルモン分泌に影響を及ぼし、正常な精子が作られにくくなります。

 さらに、テストステロン(男性ホルモン)の不足を招き、性欲減退EDなどの性機能障害に繋がります。

 一般に、ストレス妊娠によくないと言われるのはこのためです。

 近年、増えている原因不明男性不妊の多くは、自律神経の乱れと深く関係しているのです。


 自律神経は、からだのすべての器官をコントロールする制御装置です。

 ですから、この制御装置の乱れから起こる症状は、からだのいたるところにあらわれます。

 あらわれる症状も不眠や頭痛、めまい、動悸、不安感から生殖機能の低下など、人によって千差万別です。

精子を送り出すしくみ(性反射)と自律神経

 次に、精巣で作られた精子を外に放出するしくみについてお話しします。

 精子を送り出すしくみ(性反射)には、勃起と射精という2つの現象があります。

 実は、この現象にも2つの自律神経交感神経副交感神経)が深く関係しています。

 陰茎に触刺激を加えると、その情報は仙髄に伝えられます。すると、反射性に副交感神経の働きが亢進し、陰茎の細動脈が拡張し充血することで勃起がおこります。また、これとは別に情動刺激によってもおこります。

 射精も陰茎の触刺激によっておこります。陰茎から感覚情報は腰仙髄へ伝えられ、反射性に交感神経が亢進することで射精がおこります。また、交感神経が亢進すると陰茎の細動脈は収縮し勃起は終了します。

 勃起副交感神経が優位に働くことでおき、射精交感神経が亢進することでおきます。


 このように、男性の性反射は、2つの自律神経(副交感神経と交感神経)が絶妙なバランスで働くことで成り立っています。

 男性不妊の原因となる性欲減退EDなどの性機能障害の多くは、自律神経が関係しているのです。

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自律神経失調症が招く男性不妊

 ここまで、自律神経の乱れ(自律神経失調症)が、乏精子症や精子無力症などの造精機能障害や、EDや性欲減退などの性機能障害を招くことをお話ししてきました。

 そのメカニズムをまとめると、次のようになります。 

 ・脳の視床下部には、自律神経、ホルモン分泌、情動の3つの中枢あり、密接に連動しています。

自律神経のバランスが崩れると、ホルモン分泌に影響を及ぼし乏精子症精子無力症などの造精機能障害を招くことになります。

 ・精子を送り出す性反射(勃起と射精)は、2つの自律神経(副交感神経と交感神経)が絶妙のバランスでコントロールしています。

自律神経の乱れは、性欲減退EDなどの性機能障害を招くことになります。

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男性不妊の鍼灸治療

 では、このような男性不妊になぜ鍼灸治療が効果的なのでしょうか?

 まず、自律神経(副交感神経と交感神経)の働きを、東洋医学の視点からみてみたいと思います。




 東洋医学には「陰陽論」という基本的な考え方があります。

 すべてのものには「」と「」の二面性があります。

 例えば、女性(陰)と男性(陽)、裏(陰)と表(陽)などです。ヒトのからだでは、下半身(陰)と上半身(陽)、お腹(陰)と背中(陽)などです。

 一方が陰ならもう一方は陽です。反対のものでありながら調和する、それが陰と陽です。

 まさに、自律神経の副交感神経(陰)と交感神経(陽)は、陰と陽の働きです。

 この他にも、ホルモンや神経伝達物質など、陰陽のものがたくさん明らかになっています(昔から言われてきた陰陽の働きが西洋医学の分野でもだんだんとわかってきたのです)。

 陰があるから陽があり、陰や陽が単独であるのではないのです。

 そして、昔から東洋医学では、「人は、気血(≒血液)のめぐりがよく、陰陽のバランスが整った状態が健康」とされてきました(西洋医学的に表現すると、血流がよく、副交感神経と交感神経のバランスが整った状態です)。



 気血のめぐりが悪くなり、陰陽のバランスが乱れることでさまざまな症状があらわれたり、病気になると考えられてきました。


 例えば、わたしたちのカラダは、仕事や人間関係などのストレスを受け続けると、気血の流れに滞りや偏りが生じ、めぐりが悪くなります。

 すると、陰陽のバランスがくずれ、さまざまな症状があらわれます。

  一般に、精神的ストレスを受けやすい環境のヒトや生活のリズムが乱れているヒトは、自律神経失調症状があられやすいと言われています。

 ストレスを受けると、交感神経(陽)が緊張して、脈拍を上昇させます。

 適度なストレスは、血流が増え血行もよくなって良いのですが、行き過ぎたときが問題です。

 行き過ぎると交感神経(陽)の緊張が高まり、血管の収縮が強くなります。すると、血行が悪くなり、「顔色が悪い」「いつも疲れている」「体調がすぐれない」などの症状がでてきます。

 このとき、休息をとったりリラックスなどをして、副交感神経(陰)の働きが優位になると、血管が拡張して、血流は良くなります。

 やがて、自律神経のバランスは整い、症状は自然に治ります。

 ところが、ストレスを抱え続けると、交感神経(陽)は過緊張に陥り、血流(≒気血のめぐり)はますます悪化します。

 そして、副交感神経(陰)と交感神経(陽)のバランスが崩れ、造精障害や性機能障害などの男性不妊症や、自律神経失調症を招くことになります。


 ここまで、乱れてしまった陰陽のバランスは、ご自身の力だけでは回復が難しい場合があります。

 そんな時、鍼灸治療は陰陽のバランス(自律神経)を整える手助けをします。




 東洋医学では、数千年におよぶ治療の積み重ねの中で、からだのしくみを陰陽という概念でとらえ、治療に活かしてきました。

 そして、その考え方と治療法は、現代まで脈々と受け継がれています。

 はなもも鍼灸治療院では、「気血のめぐりを良くし、陰陽のバランス(自律神経)を整えることで男性不妊を解消する」という根本治療を行っています。


 近年、アメリカの研究で、鍼による皮膚刺激が知覚神経を通して、視床下部に届き、自律神経の働きを調整することがわかってきました。

 さらに、鍼灸治療にはリラックス効果があることもわかってきました。

 鍼灸により精神安定作用のある、エンドルフィンやエンケファリンなどのホルモンが分泌されることがわかり、今、注目されています。

 これらの働きにより、精神的ストレスを和らげ、男性不妊によい効果が期待されています。

 鍼灸治療がなぜ男性不妊によいのか、科学的にも明らかになってきたのです。


 原因不明の男性不妊で悩んでいる方、他の治療でなかなか効果があらわれない方、パートナーだけが治療を繰り返している方、ぜひ一度、はなもも鍼灸治療院へご相談ください。

 パートナーと一緒に妊活・不妊治療に取り組めば、きっとかわいい赤ちゃんに恵まれることでしょう。


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