たった1つの受精卵から赤ちゃんが誕生するまで
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たった1つの受精卵から赤ちゃんが誕生するまで

赤ちゃんを授かるには、受精卵が順調に成長することが大切です。

わたしたちのからだは約60兆個の細胞から構成されていますが、もとはたった1つの受精卵です。

受精卵は細胞分裂をくりかえしながら成長し、からだを構築していきます。

これまで、受精卵という1つの細胞からどのようにして、骨や筋肉、血液や脳、心臓や肝臓などの内臓ができ胎児に発育していくのかわかりませんでした。

しかし、科学の発展とともに受精卵の成長過程が少しずつ明らかになってきました。

からだのなかで最大の細胞と最小の細胞は?

わたしたちのからだは約200種類60兆個の細胞から成っています。

内臓や骨、筋肉、皮膚、血管、脳などすべて細胞の集まりです。




それぞれの細胞は働きや大きさが異なります。

では、からだのなかで最大の細胞は何でしょうか。

それは、卵子です。その大きさは直径0.1ミリメートルととても小さな細胞ですが、ヒトのからだのなかでは最も大きな細胞です。

命のはじまりである卵子が最も大きな細胞です。

では、最小の細胞はなんでしょうか。

それは、精子です。

大きさは全長0.06ミリメートル。頭部だけだとたったの0.005ミリメートルです。

卵子のわずか20分の1の大きさです。

卵子が最大で精子が最小なのには理由があります。

精子は子宮内を泳いで卵子を探します。

最も大きな細胞と最も小さくて運動率の高い細胞になることで、出会える可能性を最大限に高めたと考えられています。

子宮内では、数千万~数億個の精子が泳いで卵子が待つ卵管膨大部に向かいまが、卵管にまでたどり着ける精子はたった数百個です。

そして、最初に卵子と出会った精子が卵子の中に入ると受精は成立します。

受精卵はどのように成長する?

お母さんのおなかの中で、受精卵(1つの細胞)は、どんどん「分裂」してたくさんの細胞になっていきます。

やがて細胞は「分化」を始めます。

「分化」とは、それぞれの細胞が役割を持つことを言います。

からだを構成する60兆個の細胞は、もともと卵子と精子が合体してできた、たったひとつの受精卵細胞です。




受精卵細胞は分裂を繰り返し増えていく過程で、ある細胞は皮膚の細胞に、別の細胞は筋肉や骨の細胞に、あるいは脳や心臓、肺、肝臓、腎臓などを構成する細胞に分化していきます。




筋肉になる細胞は筋肉の機能を果す細胞に、骨になる細胞は骨の役割を果す細胞になります。

柔軟性をもち力を発揮する筋肉の細胞と、硬くてからだを支える骨の細胞とではその能力は異なります。

皮膚、血管、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、胃、小腸など、それにふさわしい細胞になっていくのです。

それぞれの細胞が専門的な役割を持つようになることを、「心臓の細胞に分化する」とか、「筋肉の細胞に分化する」と言います。

細胞は「分裂」をくりかえすことで数を増やし、そして「分化」することで、特別な役割を持った細胞になっていきます。

一個一個の細胞は、はじめから何の細胞に分化するのか決まっているわけではありません。

皮膚の細胞に分化したり、筋肉の細胞に分化したり、骨の細胞に分化したり、血液の細胞に分化したり、個々の細胞はみずから何の細胞に分化するのか臨機応変に決めていきます。

もし最初からどの細胞がどの役割を果たすのか、決めてしまっていたら、たまたまその細胞がうまく分化できなかった場合、受精卵の成長はその段階でストップしてしまうことでしょう。

そうならないように、それぞれの細胞はどのパーツの細胞に分化すべきか自分で決定します。

あたかも1つ1つの細胞が意思をもっているかのようです。

そもそもたったひとつの細胞である受精卵が分裂を繰り返して、60兆個という膨大な数の細胞でできているからだをつくろうしているのです。

その過程では、分裂分化に失敗する細胞はいくつかあるはずです。

そのたびに細胞たちが修正をしながら、からだはだんだんと出来上がっていくのです。

最初にできあがる細胞はなんでしょう?

では、分裂・分化のプロセスの中で一番最初にできあがる細胞(分化する細胞)は何でしょうか。

それは、原始生殖細胞です(生物学では始原生殖細胞と呼びます)。

原始生殖細胞とは、その受精卵が女の子になれば卵子に、男の子になれば精子になる細胞です。

受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管膨大部から子宮へ向かいます。

受精から1週間、子宮内にたどり着いた受精卵は子宮内膜にもぐりこみます。

これが着床です。

着床したばかりの命のタネは胎芽と呼ばれます。

着床後はお母さんから栄養をもらい、急速に成長を始めます。

初めのころは、1日ごとにサイズが2倍に膨れ上がっていきます。

そして受精から3週間、原始生殖細胞がつくられはじめます。




まだからだを作る臓器の影も形もまったくないころです。

赤ちゃんのお弁当箱と呼ばれる卵黄嚢(らんおうのう)を包む薄い膜の片隅で、一つの細胞が分裂をはじめます。

次々と分裂を重ねて、たくさんの原始生殖細胞がつくられていきます(原始生殖細胞に分化していきます)。

このように、生まれる赤ちゃんのなかでもっとも早くつくられるのは、さらに次世代の命です。

「お母さんの胎内では、子どもと孫が同時につくられている」とも言われます。

そして、原始生殖細胞は分裂をつづけながら、移動をはじめます。

最初は十数個だった原始生殖細胞は、移動の間に数千個に増えていきます。

一方、その移動のあいだ、胎児のからだはどんどんつくられていきます。

それまでほとんどヒトのかたちをしていなかったは変化し、手足となるふくらみや、瞳をつくる眼筋もつくられはじめます。

影も形もなかった身体はあっという間にかたち作られていきます。

この時期は、全身のあらゆる細胞が変化し、分化が決定され、役割がさだめられていきます。

最初につくられた原始生殖細胞は、身体の端から少しずつ中心へと移動していきます。

そして分裂開始から5週間。

ついにめざしていた生殖腺にたどり着きます。

できたばかりの生殖腺に到着した次世代の命のタネ(原始生殖細胞)は、次々と生殖腺の内部に収まります。

原始生殖細胞でいっぱいになった生殖腺は次第に細くすぼまり、入口を閉ざします。

先に生まれる赤ちゃんがやがて成長して思春期をむかえるまで、原始生殖細胞は生殖腺のなかで長い眠りにつきます。

赤ちゃんが誕生するまで

胎児のからだが形成されていく過程を、もう少し詳しくみていきましょう。

受精後5週目の終わりになると、心臓は血液を送りはじめます。

しかし、心臓はまだ完全にはできあがっていません。

手足はつくられはじめ、目の輪郭もはっきりしてきます。

受精後6週間がすぎると、筋肉がみえてきます。

小さな骨格もできまじめます。

顔と首が発達し、黒い目もはっきりとしてきます。

小さな心臓は心室と心房に分かれ、お母さんの倍の速さで脈をうちます。




6週目以降は、胎児と呼ばれます。

受精後7週~8週になると、胎児はとても人らしくなってきます。

手足の指は1本1本完全にわかれます。

手と手をあわせるような単純な動作もするようになります。

受精後2か月目の終わりになると、すべての内臓が形を成してきます。

受精後8週間すぎると、胎児の頭はからだの半分くらいの大きさになり、手足が成長して、だいぶ赤ちゃんらしくみえてきます。

骨格もしっかりしてきます。

生殖器官もできはじめ、この頃には女の子か男の子か性別を見分けられます。

受精後3ヶ月のあいだに、赤ちゃんはおどろくほどの成長をみせます。

身長は8cm、体重は20g以上になります。

はなれていた両目は近づき、のつくりが整ってきます。

小さな耳たぶや、爪、かみの毛など細かな部分もつくられてきます。

あごの骨の中に、歯になる小さな突起もできます。

肝臓や膵臓でつくられていた血液も骨髄でつくられるようになります。

受精後4ヶ月。身長は15cm、体重は190gくらいになります。

皮膚は透明で産毛におおわれています。指には指紋があらわれます。

赤ちゃんは、からだを動かしていますが、お母さんはまだ気づきません。

受精後5ヶ月がすぎると、お母さんは赤ちゃんの動きを感じとれるようになります。

しゃっくりもします。しかし、肺や消化器、皮膚などはまだ正常に機能しません。

受精後6ヶ月すぎると、身長は30cm、体重は700gくらいになります。

すべての内臓ができあがります。

赤ちゃんは指をしゃぶったり、羊水を飲みはじめます。まゆ毛やまつ毛など顔の細かな部分が整ってきます。




受精後8か月。身長は40cm、体重は2kg前後になります。

皮下脂肪が増え、それにともない体重も増えてきます。

赤ちゃんは見たり聞いたりできるようになります。

受精後10ヶ月になると、身長は50cm前後、体重は約3kgにまで成長します。

子宮の中が赤ちゃんにとって狭くなってきます。

赤ちゃんは頭をお母さんの骨盤に向けた姿勢をとり、まもなくおとずれる出産を待ちます。




現代の科学ではさまざまなことがわかってきましたが、生命がどのように誕生するのか、正確にはまだ解明されていません。

受精卵というたった1つの細胞から、60兆個の細胞に分裂・分化し、一つ一つの細胞が着実に役割をはたし、ヒトのすべての細部まで完成させて新しい命は誕生します。

赤ちゃんの誕生は、とても奇跡的で感動的なできごとなのです。

最後に

これまでの定説では、女性は一生分の卵細胞をもって生まれ、出生後は新しい卵母細胞は作られないとされていました。

しかし、近年、「出産年齢の女性は新しく卵子を作り続けている」という報告があり話題となりました。

実際に鍼灸治療を続けていると、卵巣年齢が若返る患者さんもいらっしゃいます。

妊娠については、現代医学でもまだまだわかっていないことがたくさんあります。

今後、さらに研究が進めば不妊治療に新しい道がひらけることでしょう。

参考文献:人体ミクロの大冒険 角川書店、赤ちゃんの誕生 あすなろ書房

 

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