自律神経と免疫力の関係
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自律神経と免疫力の関係

バランスをとり合う2つの自律神経

自律神経は、心臓や血管、胃腸などの内臓の働き、睡眠や体温調整などを司っています。その人の意思とは関係なく働くので、自律神経と呼ばれています。

自律神経には副交感神経と交感神経があります。交感神経は主に運動時や昼間に優位になる神経で、身体や精神活動を活発にします。副交感神経は、食事のときや休息時に優位になる神経で、心身を休息モードに整えます。相反する役割を持つ2つの神経が、お互い協力し合いながら体の働きを調整しています。

自律神経は内臓の働きを調整する際に、交感神経と副交感神経それぞれから神経伝達物質を分泌します。

交感神経から分泌されるアドレナリンと呼ばれる神経伝達物質には、心臓の拍動を速め、血管を収縮して血圧を上げる作用があり、心身を活動モードにします。一方、副交感神経から分泌されるアセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質には、心臓の拍動を遅くし、血管を拡張して血圧を下げる作用があり、心身はリラックスモードになります。

交感神経と副交感神経は、お互いバランスをとりながら、その時々の状況に応じて、からだを最適な状態にしてくれます。

そして、もう1つ重要なことは、自律神経は体の免疫系を担当する、白血球の働きにも深く関与しているということです。

免疫力の主役「白血球」

白血球は全身の血液をめぐって、体を異物から守るのが役目です。

白血球はリンパ球、顆粒球、マクロファージという免疫細胞を持ち、絶妙な役割分担を行っています。白血球の約60%を占める顆粒球は細菌などサイズの大きい異物を食べて処理する係で、約35%を占めるリンパ球は体に侵入したウイルスなどの異物やがん細胞などを処理します。残りの5%を占めるマクロファージは、顆粒球やリンパ球を誘導する司令塔の役目を持ちます。

顆粒球は、細菌などを食べると、化膿性の炎症を起こします。また異物を食べたあとの顆粒球の残骸は、臓器や血管の粘膜上で活性酸素をまき散らし、組織や細胞を破壊します。活性酸素が増えると、炎症疾患をはじめ、がん、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、白内障などの病気を引き起こします。

このように、顆粒球は異物の侵入を防ぐ大切な防御細胞ですが、これが増加しすぎるとかえって病気を引き起こすことになるのです。

一方、リンパ球は「抗原抗体反応」という免疫力を発揮します。抗原抗体反応とは、ウイルスなどが体内に入ると、リンパ球がこれに対抗できる抗体を作ることです。この抗体によって病気から体を守っています。

自律神経と白血球の連動

白血球は血流にのって体内を巡回しています。このように体内を移動している白血球は、自律神経の指令は受けないと考えられてきました。しかし、近年の研究で、白血球も自律神経によってコントロールされていることが明らかにされました。

体の中では顆粒球が増えるとリンパ球が減り、逆に顆粒球が減るとリンパ球が増えるようにバランスがとられています。この顆粒球とリンパ球の増減に、自律神経の交感神経と副交感神経の働きが関連していたのです。

顆粒球は、交感神経が優位なときに分泌されるアドレナリンに反応して、数を増やし活性化します。反対にリンパ球は、副交感神経が優位なときに分泌されるアセチルコリンに反応して、数を増やし活性化するのです。

これは、人が健康を保つ上でとても理にかなっています。

交感神経が優位になる日中は、活動的でケガを負った傷口などから細菌が侵入しやすい時間帯です。ですから、サイズの大きな細菌を退治してくれる顆粒球が多い方が都合いい訳です。

一方、副交感神経が優位になる夜間は、体内で細胞の新陳代謝が活発に行われます。古くなった細胞やガン細胞、ウイルスに感染した細胞を、リンパ球は除去してくれます。一晩に数千個~数万個のガン細胞ができると言われていますが、リンパ球が除去してくれるおかげで、癌にならずに済んでいます。

環境や状況の変化に応じて、自律神経(副交感神経と交感神経)がバランスよく働くことで、免疫力(白血球)がうまく機能して、わたしたちは健康でいられるのです。

東洋医学で診る自律神経と免疫力

自律神経と免疫力を、東洋医学の立場から観ていきたいと思います。

昔から東洋医学では、「治療とは、からだの陰陽のバランスを整え、自己治癒力がきちんと機能するようにすること」と言われてきました。

陰陽という言葉は、みなさんも一度は聞いたことがあるのではないかと思いますが、ここで誤解しないでいただきたいのは、陰が悪で、陽は善というものではないことです。

車のブレーキ(陰)とアクセル(陽)のような関係、と言うとわかりやすいでしょうか。相反するものでありながら、協力し合うもの、それが陰と陽です。

人のからだにも陰陽の働きが備わっていて、つねにバランスをとり合っていると考えられてきました。先述の副交感神経と交感神経は、まさしく陰陽の働きを意味しています。

詳しいページ

陰陽論

また、自己治癒力(自然治癒力)とは、病気から体を守り、病から回復する力(機能)のことです。

東洋医学では、そもそも人のからだには、病からからだを守り、たとえ病気にかかったとしても治す力(機能)が備わっていると考えられてきました。その力(機能)のことを自己治癒力とか自然治癒力と呼んできました。前述のウイルスなどの外敵から体を守る白血球(免疫力)は、自己治癒力の代表と言えます。

この自己治癒力はとてもすばらしいものです。病院も薬も無い時代から人々が生き延びてこられたのは、ひとえにこの自己治癒力があったからです。

このように、東洋医学は、自律神経や白血球が発見されるよりもずっと昔から、陰陽のバランスや自己治癒力の存在を見出し、鍼灸治療に活かしてきたのです。

そして、現代、東洋医学で伝えられてきた「陰陽のバランス(自律神経)を整えること、自己治癒力(白血球)を働かせること」の意味が、科学に基づいて説明されるようになりました。鍼灸治療はなぜ効くのかということが、科学的にも明らかになってきたのです。

引用文献 安保 徹:薬を止めると病気は治る マキノ出版

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