自律神経失調症・不定愁訴の鍼灸治療
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自律神経失調症・不定愁訴の鍼灸治療

最近、特に原因は思い当たらないのに、「頭が重くて、だるい」、「なんとなく気持ちが落ち込む」「手足が冷える」「不安で眠れない」などの不調を訴える方が、増えています。これらの原因不明の症状を「不定愁訴」といいます。

不定愁訴の多くは、内臓などの病気によるものではなく、その人の生活習慣やストレスなどによって、からだの働きをコントロールしている自律神経の調子が乱れるためにおこるものです。

不定愁訴を訴える人は、昔からいましたが、病名はありませんでした。この症状に名前がつけられたのは1961年、東邦大学で、器質的疾患のない不定愁訴を「自律神経失調症」と呼ぶようになり、これが医師の間で広まり定着していきました。その後、日本心身医学会が、「検査をしても器質的病変はないのに、種々の不定愁訴を訴える状態」を「自律神経失調症」と暫定的に定義しました。

ただし、西洋医学においても、まだ正式な病名として認められているわけではなく、めまいや倦怠感、胃痛など、自律神経が関係する不定愁訴があるのに、検査しても異常が見つからない、原因の特定が難しい場合に「自律神経失調症」と診断されるようです。

自律神経とは

まず、神経には体性神経と自律神経があります。

体性神経は、手や足を自分の意思で動かすための神経です。

一方、自律神経は消化器を動かしたり、体温調整をするなど自分の意思とは関係なく働く神経で、普段無意識にしている呼吸、循環、消化、排泄、発汗、体温調整、睡眠などをコントロールしています。

自律神経は生命を維持するための重要な働きをする神経です。body_naizou

そして、自律神経には、交感神経副交感神経があります。2つの自律神経は、副交感神経が血管を拡張して血行を良くし、交感神経は血管を収縮して血行を穏やかにするなど正反対の働きをしています。

また、交感神経は仕事やスポーツの時に心臓の拍動や血圧を高めて、精神活動を活発にします。主に、昼に活発になります。副交感神経は睡眠、休息をとるときに働く神経で、心臓の拍動をしずめ、精神活動を休めます。主に夜、優位になります。

自律神経は感情の変化にも連動して働きます。緊張したときや驚いたときは、交感神経が亢進して心臓がドキドキします。緊張から解放されたときは、副交感神経が優位になり、心拍は下がり気持ちが落ち着きます。

このように2つの自律神経(副交感神経と交感神経)が24時間、365日休まずバランスをとりあって、身体の働きを安定的に調整しているのです。

自律神経失調症の症状

健康な毎日を過ごすには、相反する働きをする交感神経と副交感神経、この2つのバランスが保たれていることがとても大切です。

自律神経は生活のリズムや感情、環境の変化などに影響を受けます。自律神経のメカニズムからすると、交感神経は昼、副交感神経は夜、働くのが正常といえます。

ところが、夜更かしが続いたり、体に無理を強いる肉体的なストレスや、悩み心配事などの精神的なストレスが続いたりすると、交感神経が過緊張に陥り、副交感神経の働きが抑制されてバランスをくずし、ほてりや冷え、頭痛、めまい、不眠症など様々な症状を起こします。nemurenai natsubate_girl

千差万別にあらわれる症状

自律神経は体の全ての器官をコントロールするいわば制御装置です。

ですから、この制御装置の乱れからおこる自律神経失調症の症状は、頭、耳、目、皮ふ、消化器、循環器、生殖器、精神面など、からだのいたる所にあらわれます。

そして、あらわれる症状も、疲れが取れない、よく眠れない、食欲がない、手足がむくみ冷える、肌が荒れる、慢性的に肩がこる、腰がいたい、頭が重い、月経不順、月経痛、イライラする、のぼせる、めまいがするなど、人によって千差万別です。また、複数の症状が現れることが多くあります。

女性に多い症状

自律神経はホルモンとも密接な関係があり、自律神経の乱れは、月経不順(生理不順)や不妊症を招くことになります。特に、更年期の女性は自律神経失調症になりやすいと言われています。

自律神経の調節を司る中枢は、脳の視床下部というところにあります。ここには、自律神経の調節中枢だけではなく、女性ホルモンの分泌中枢や怒り・不安感などの情動中枢も集まっています。しかも、これら3つの中枢は極めて近くにあり、密接に連動しています。

このため、自律神経の乱れが女性ホルモンの分泌に影響を及ぼし、月経不順や不妊症を招くことがあります。また、更年期に起こる女性ホルモンの変化や月経周期の乱れが、自律神経の働きや情動に影響を及ぼし、自律神経症状や精神的症状があらわれやすくなると考えられています。 kibunwarui_woman

たえば、更年期によく見られる不眠症やイライラ感の場合、通常は夜になると副交感神経が優位となり、心も身体もリラックスしてゆっくりと眠りにつきます。ところが、更年期障害では夜になっても副交感神経が優位にならず、交感神経が亢進した状態が続くために不眠やイライラを訴えやすくなるのです。

このように、自律神経、ホルモン分泌、情動(怒りや不安感)は密接に関係しています。

自律神経失調症の原因

自律神経は、生命活動を維持するとても大切な神経で、簡単にバランスを崩すようなことはありません。もし、何かをきっかけにバランスが乱れたとしても、それを整える力(機能)が人には備わっています。

では、なぜ自律神経失調症になってしまうのでしょうか?

一般に、生活のリズムが乱れている人、精神的・肉体的ストレスを受けやすい環境の人、また、更年期の人などは自律神経失調症があらわれやすいと言われています。

しかし、このような人が必ず自律神経失調症になるとも限らないのです。これだけ進んだ西洋医学においても、なぜ自律神経失調症になる人とならない人がいるのか、まだはっきりとした原因はわかっていません。

一方、東洋医学では昔から「冷えは万病のもと」と言われてきました。「冷え」は、身体に本来備わっている自己治癒力を低下させてしまうからです。

自己治癒力とは、ウイルスなどの外敵から身体を守る免疫力、傷や骨折を治す修復能力、古くなった細胞から新しい細胞に生まれ変わる再生能力、新しい命を授かる妊娠力、そして、自律神経のバランスを整える調整力などをいいます。

自律神経の調節を司る中枢は、脳の視床下部というところにあり、2つの自律神経がバランスよく働くようにコントロールしています。そして、コントロールするには力(エネルギー)が必要です。調整力とは、「自律神経をコントロールする力(エネルギー)」と言い換えるとわかりやすいでしょうか。

このように、生命を維持して健康に生きていくために必要な力を総称して、自己治癒力といいます。

また、東洋医学では人の体には、陰と陽の2つの働きがあり、この2つのバランスが保たれている状態が良いと言われてきました。

東洋医学の基本概念に陰陽論という考え方があります。すべてのものには二面性、陰と陽があり、そして陰陽は相対的なものと考えます。一方が陰なら一方は陽です。反対のものでありながら、調和する、それが陰と陽です。

たとえば、女性(陰)と男性(陽)、1人の人を見た場合は、下半身(陰)と上半身(陽)などです。人の身体の働きでは、相反する働きをする自律神経の副交感神経と交感神経はまさに陰陽を意味しています。その他に、ホルモンや神経伝達物質にも陰陽の作用をするものがたくさん見つかっています(昔から言われてきた陰陽の働きが、現代医学の分野でもわかってきたのです)。

陰があるから陽があり、陰だけ、あるいは陽だけが単独であるのではないのです。そして、人は陰陽のバランスが整い、自己治癒力がきちんと働いている状態が健康とされてきました。 fufu_young

気血のめぐりが悪くなり、体が冷え、自己治癒力が低下し、陰陽のバランスが乱れることでさまざまな症状があらわれると考えられてきました。

例えば、仕事で無理をしたり悩み事を抱えると一時的に交感神経が緊張して、副交感神経の働きは抑制されて血管が収縮し、血流が悪くなります。すると、身体に「冷え」が生じてきます。なぜなら、血液には、内臓や筋肉で作られた体温を全身に運ぶ役割があるからです。

このとき、休息をとったり気分転換などをして副交感神経の働きが優位になると、血管は拡張して血行は良くなります。やがて、「冷え」は解消され、自己治癒力(調整力)で自律神経のバランスは整います。

ところが、無理や悩み事を抱え続けると、交感神経が過緊張に陥り、「冷え」はますます強くなります。その結果、自己治癒力(調整力)は低下してしまい、自律神経のバランスは崩れ、さまざまな体調不良が起こるのです。

きっかけは、ストレスなどによる一時的な自律神経バランスの乱れです。このとき、無理を続けなければ自己治癒力によってバランスは整います。しかし、無理を続けると「冷え」が生じ、自己治癒力は低下してしまい、自律神経のバランスは崩れてしまいます。

身体が冷え、自己治癒力が低下し、陰(副交感神経)と陽(交感神経)のバランスが崩れ、自律神経失調症となってしまうのです。

東洋医学ではこの冷えを「根元的な冷え」と呼び、自律神経失調症の根本原因と考えています。

近年、西洋医学の分野でも、「体温が1度下がると免疫力は30%低下する」など、身体の大切な機能の低下が「冷え」と関係していると言われるようになりました。東洋医学で昔から考えられてきた、からだに及ぼす冷えの影響が、科学的にも明らかになってきたのです。

自律神経失調症の鍼灸治療

西洋医学では、患者さんが訴える症状にスポットを当てます。症状を緩和させる薬を処方しながら自律神経の回復を待ちます。悩ましい症状を抑える薬の効果はすばらしいものです。

しかし、残念ながら症状は繰り返し起こります。薬は症状を一時的に抑制するものであって、自律神経失調症の根本原因(=冷え)を取り除くものではないからです。medicine_capsule

一方、東洋医学では自律神経失調症の根本原因である「根元的な冷え」に着目して治療を行います。

一度崩れてしまった自律神経のバランスは、ご自身の力だけでは回復が難しい場合があります。そんな時、鍼灸治療は自律神経がきちんと働くように手助けをします。

はなもも鍼灸治療院では、「自律神経失調症の根本原因である冷えを解消し、自己治癒力を高めて治癒を導く」という根本治療を行っています。

はりとお灸で、気血のめぐりを良くして「冷え」をとり、低下してしまった自己治癒力の回復を促します。自律神経のバランスが整い辛い症状が緩和され、再発しにくい身体に改善されます。 okyuu

また、自律神経失調症の根本原因を取り除くためには、鍼灸治療とともに生活習慣を見直すことも大切です。「冷え」は知らず知らずのうちに身体の芯で大きくなっていきます。昨日今日で溜まるものではなく、時間をかけて徐々に大きくなっていくのです。

根本治療はたいへん根気のいる治療です。しかし、鍼灸治療で冷えを取ることで自己治癒力が回復し、自律神経失調症をはじめ、不定愁訴、更年期障害、不妊、月経不順などの症状が和らいでいきます。

このように、東洋医学は、1つ1つの症状よりも、根本の原因に対して治療を行うという特徴があります。また、生活習慣、体質、精神状態などその人の全てを診察の対象としています。

自律神経失調症のように、人により症状が千差万別、あるいは、同じ人でも日によって症状が変わるような疾患に対して、鍼灸治療は力を発揮します。

どんな病でも、自己治癒力で自然治癒する方は必ずいらっしゃいます。

自分の症状は慢性的とあきらめずに、是非一度はなもも鍼灸治療院へご相談ください。

自律神経失調症に効果的なツボ

ここでは、自律神経失調症のツボの中から、ご家庭などで手軽にお使いいただけるものを紹介いたします。

心包区

手掌には多くのツボが密集しています。その中で自律神経失調症に良いのは、心包区と言われる部分です。手掌のほぼ中央で、中指と人差し指のまたの間から約2㎝下がったあたりから始まる部分です。 心包区

押して圧痛があるところを、親指の腹で軽く円を描くようにして、気持ちの良い程度の力で押しもみしてください。

参考文献:続・積聚治療 医道の日本社、自律神経失調症を治す本 ナツメ社

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