認知症を防ぐ!東洋医学と日常生活の工夫

認知症を防ぐ!東洋医学と日常生活の工夫

 厚生労働省の統計によると65歳以上の高齢者の認知症有病率は15%(2012年)でしたが、2025年には約20%(5人に1人)になると予測されています。

 予防のために何かできないか、気のなる方も多いと思います。

 そこでここでは、認知症の発症・進行を予防する方法についてお話します。

認知症とは

 まずは、認知症とはどのような病気なのか知ることから始めましょう。

 認知症は脳の老化が原因で生じます。

 脳は、私たちの活動をコントロールしている司令塔です。

 司令塔である脳の細胞が死んでしまったり、うまく働かなくなったために認知障害が起こり、社会的生活力が失われた状態を認知症と言います。

 40歳代では1万人に1人、95歳では2人に1人かかると言われています。

 75歳までは少ないですが、その後、5歳ごとに倍増していき、加齢とともに増えていきます。

 このように老化が密接に関係していて、高齢者の15%~20%が認知症にかかります。

認知症の原因

 認知症を引き起こす病気のうち最も多いのは、アルツハイマー病などの脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく病気です。

 次に多いのが脳血管性認知症です。脳動脈硬化、脳梗塞などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その部分の神経細胞が死んだり神経のネットワークが壊れてしまうことで起こります。

 認知症のうちの約半数はアルツハイマー病、そして、脳血管性認知症が2割です。

 この2つを予防すれば認知症の7割近くをカバーできます。

 それでは、それぞれの病気についてお話します。

アルツハイマー病

 認知症の半数を占めるアルツハイマー病は、βタンパクなどのタンパク質の一種が脳内に溜まることが原因です。

 通常、βタンパクはきれいに掃除されますが、分解・除去力が低下してくる人が出てきます。

 βタンパクが蓄積し始める年齢には個人差があり、早い人では40歳代からで5%程度の頻度と言われています。

 加齢とともに増えていき、90歳代では80%以上の頻度でβタンパクが蓄積しています。

 しかし、認知症の多くは発症までの時間が長く、βタンパク質が溜まり始めてから発症まで20年~30年かかると言われています。

 また、βタンパクが蓄積したからと言って、必ず認知症を発症するものでもありません。100歳まで生きても生涯発症しない方もいらっしゃいます。

 人は必ず年をとり老化していきます。老化予防とは老化を止めることではなく、老化のスピードを遅らせることです。

 認知症の予防もこれと同じで、発症や進行を遅らせることなのです。

脳血管性認知症

 脳血管性認知症は、脳血管障害によって生じる認知症です。

 主に、大脳の白質という「ネットワーク」の存在する部分が、血流不足によって酸素や栄養が行き渡らなくなり障害を受けて生じます。

 加齢に伴う動脈硬化がその主な原因です。

 動脈硬化を防ぎ脳血流をよく保つことが、脳血管性認知症の予防になります。

 つまり、動脈硬化を引き起こす原因になる高血圧症、糖尿病、脂質代謝異常など、これらの疾患をきちんと予防・治療することが脳血管性認知症の予防に繋がります。

認知症を防ぐ日常生活の工夫

 日々の生活を少し変えるだけでも認知症予防になります。

脳を活性化する

 脳には「受けたダメージから回復しようとする力」があります。

 脳内の連絡網であるシナプスは使い方で強化されます。

 前向きに脳を使い、いろいろなことを学習し体験することで脳を活性化しましょう。

 たとえば、褒めると、ほめられた人も褒めた人も脳内でドーパミンが出ることがわかっています。

 ドーパミンは意欲を湧き起こす物質で、褒めることで認知症の発症や進行を遅らせることが期待できます。

 また、社会的交流も認知症リスクを低減します。人とのコミュニケーションを積極的にとることが大事です。

 「褒めあう、楽しく会話をする、楽しいことをする」ことで脳を活性化しましょう。

食事に気を付ける

 認知症は、食生活も大きく影響していることがわかってきました。

 肥満・高血圧・高コレステロールは、認知症のリスクが2倍になります。脂質は摂りすぎず、適度に摂取することが大切です。

 また、お酒が飲める方は赤ワインのポリフェノールがアルツハイマー病のリスクを半減すると言われています。

 ただし、飲みすぎは肝機能に悪影響を与えるので注意が必要です。

適度な運動をする

 運動も大切です。特に、中年期の運動が予防になります。

 20分~30分以上の軽い発汗程度の運動を週2回以上で、アルツハイマー病が1/3になるという研究結果があります。

 運動によって脳内の海馬や前頭葉と呼ばれる部分の働きがよくなり、記憶力がアップします。

 BDNFという神経細胞の栄養も増え、神経細胞が新しく作られます。

 また、律動運動(歩行などの続ける運動)で抗うつ作用のあるセロトニンが分泌されます。

 毎日の散歩や、軽いジョギングがおススメです。

 膝の悪い方はその場ジョギングがいいでしょう。その場ジョギングは、つま先から足を着くので膝を痛める心配も減ります。

 身体活動が低いと脳血流量が低下し、認知機能が低下していきます。

 また、小さな脳梗塞があり血行が悪いと発症が早まると言われています。

 日々身体を動かすことは、心臓や脳の血管の状態を良好に保つことにつながるので、認知症の予防に最適です。

 また、ストレスは副腎皮質ホルモンを上昇させて神経細胞を傷めます。ストレスでアルツハイマー病の病変が増えることが分かってきました。

 上手に運動を取り入れてストレスを溜め込まないようにしましょう。

 このように、認知症の予防・進行防止には、食事、運動、前向きな生活などを組み合わせた対策が必要です。

 魚、野菜、赤ワイン、腹八分目を心がけ、人と交流し大いに笑い、週2回は汗をかき、明るく前向きに生きましょう。

 これらを行えばすぐに効果が上がるというものではありませんが、生活習慣として身につけることが大切です。

東洋医学で認知症の予防

 東洋医学には、「人のカラダに備わっている治癒力を高める」という特色があります。

 治癒力とは病気を予防し、たとえ病気にかかってもそれを治す力のことを言います。

 例えば、アルツハイマー病の原因になるβタンパクを分解したり除去したりする機能は、認知症を予防する力であり、進行を遅らせる力でもあります。

 本来みなさんのカラダにはこのような力が備わっていますが、仕事で無理をしたり、大きなストレスに悩まされたり、不規則な生活を続けていたりすると、カラダに負担がかかり治癒力がだんだんと低下してきます。

 また、治癒力が低下してくると気血のめぐりも悪くなります。すると、瘀血(血流の滞り)が起こり脳内の血流を悪化させ、これが脳血管性認知症のリスクを上昇させます。

 認知症治癒力の低下した先に起こることです。

 東洋医学では、鍼灸や漢方薬を用いてその人のカラダに宿っている治癒力を高めていきます。

 また、近年の研究では鍼灸治療で体内からエンドルフィンやエンケファリンが分泌されることが分かってきました。

 これらの働きにより爽快感が感じられ、気持ちも前向きになると考えられています。

 認知症の発症・進行の予防に東洋医学を取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考文献 山口晴保:読めば納得!認知症予防  共同医書出版社

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