妊活のための食事のとり方
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妊活のための食事のとり方

最近、妊活中の患者さんから、食事について質問をうける機会が増えてきました。妊活中は、どんな食事をとればいいのか気になるところです。

近年、栄養学の進歩により、食べ物がもっている栄養素とその働きがだんだんと明らかになってきました。それにともない、妊娠のために摂取するとよい栄養素もわかってきました。

その一方で、まだ働きのわからない未知の栄養成分がたくさんあるのも事実です。

そこで今回は、現代栄養学と東洋医学の知見を交えながら、妊活中に摂取するとよい栄養素と食事のとり方についてお話しします。

バランスのよい栄養と適切なカロリーの食生活

現代栄養学では、妊娠のチャンスを増やすには、食生活の内容が大切といわれています。極端な肥満や痩せ(やせ)は排卵障害や精子障害を起こすだけではなく、妊娠してからも胎児の発育に悪影響を及ぼします。食べ過ぎが習慣になっていると、栄養過多で肥満になるだけではなく、糖尿病などの生活習慣病を招きます。

また、偏食も栄養が足りなくなり、不妊症の原因となります。偏食は長い時間をかけて身についてしまった、食生活の悪い癖です。そのため偏食をなおすことは大変ですが、これをきっかけに偏食をあらためてはいかがでしょうか。

しかし、どうしても食べられない物を無理して食べることはないので、1~2週間ほど、食事内容を記録し、不足気味な栄養を計算して、サプリメントなどによって補うのも1つの方法です。

とくに控えた方がよい食品はありませんが、甘い物や辛い物をたくさん食べることは避けた方がよいでしょう。食生活の基本は、栄養バランスのいい食事を、一日3回、規則正しく食べることです。

妊娠しやすいからだを作る、女性のための栄養

女性のからだを妊娠しやすい状態にしてくれる栄養成分や食品には、次のものがあります。

たんぱく質

たんぱく質は、からだの土台をつくります。筋肉や血管、皮膚などの重要な構成成分です。質の良い卵子をつくるためにも大切です。

肉類、魚、卵などに多く含まれています。

鉄分

女性に比較的多い貧血を解消し、低血圧や冷え性を防ぎます。

鉄分は、レバー、牛肉、海藻、アサリ、カキなどに豊富です。

ビタミンE

生殖機能の働きを活性化して、血流を良くします。

アーモンドなどのナッツ類、うなぎ、ほうれん草、カボチャなどに多く含まれています。

カルシウム

骨を丈夫にして、ストレスに強いからだを作ります。

小松菜などの緑黄色野菜、小魚、ごま、牛乳、チーズなどに豊富です。

ビタミンA

子宮内膜を育て受精卵が着床しやすい環境をつくります。免疫力もアップしてくれます。

うなぎ、ほうれん草などに多く含まれています。

ビタミンD

質の良い卵子を育てることがわかり、近年、注目されています。排卵障害を起こす多嚢胞性卵巣症の人には、ビタミンDが不足しているケースが多いという研究報告もあります。

きくらげ、干しシイタケ、シャケ、サンマ、イワシなどに多く含まれています。

食物繊維

便秘解消に抜群の効果を発揮します。

ごぼう、いも類、ひじき、こんにゃくなどに豊富です。

葉酸

「胎児の神経管閉鎖障害を予防することが期待できる」と言われています。赤ちゃんの神経管は、妊娠のごく初期に作られます。葉酸は、妊娠しやすくなるというよりも、赤ちゃんの成長にとってとても有用な栄養素といえます。

モロヘイヤ、ほうれん草、しゅんぎくなど青菜に多く含まれています。

元気な精子をつくる、男性のための栄養

男性は仕事などで不規則になりがちな食生活を補う食品を、しっかり摂ることを心がけましょう。元気な精子をつくり、精力をアップする栄養素には次のものがあります。

亜鉛

男性ホルモンの生成を促します。

カキ、ホタテ貝、牛肉などに豊富です。

アルギニン

精液の80%を占める成分です。

玄米、豆みそ、ごまなどに多く含まれています。

ビタミンE

生殖機能の働きを向上させます。

アーモンドなどのナッツ類、うなぎ、ほうれん草、アボカドなどに多く含まれています。

ビタミンA

免疫機能を強化して、ストレスに強いからだをつくります。

レバー、鶏卵、ヤツメウナギなどに豊富です。

ビタミンB

精力増強、疲労回復に効果があります。

豚肉、うなぎ、しいたけ、納豆などに多く含まれています。

いい栄養も摂りすぎは禁物

妊娠のためによいとされている栄養素も、摂り過ぎは禁物です。なぜなら、副作用があるからです。

例えば、不妊に良いと注目される栄養素の1つに、ビタミンDがあります。ビタミンD には、カルシウムの吸収を助ける作用があるため、ビタミンDの摂りすぎは高カルシウム血症という病気を引き起こす原因になります。高カルシウム血症になると、便秘、食欲不振、悪心・嘔吐、腹痛、情緒不安定などの症状があらわれます。

ビタミンAも妊娠のために必要とされているビタミンの1つですが、過剰に摂取すると脱毛、肝障害などの症状があらわれることがわかっています。また、妊婦さんが過剰に摂取すると、胎児に奇形が生じるリスクがあると言われています。それでは「妊娠中はビタミンAをとらないようにしよう」と考える方もいるかもしれませんが、ビタミンA不足もまた、赤ちゃんの発育不全を招くといわれています。

多すぎても少なすぎても問題があるということです。

近年、葉酸も大変注目されている栄養素です。しかし、摂りすぎると食欲不振、吐気、むくみ、不眠症などの副作用があります。また、葉酸を過剰に摂取しつづけた場合、発熱、じんましん、かゆみ、呼吸障害などを発症する「葉酸過敏症」になる可能性も指摘されています。

この他にも、妊娠のために摂取するとよいと言われているビタミンやミネラルはありますが、その多くは副作用の問題があります。妊娠のためにと思い、摂りすぎるのは禁物です。どんなにいい栄養も、適量が大切です。

日本で栄養不足はある?

健康食品の過剰摂取による副作用を背景に、内閣府・食品安全委員会は、2015年専門家による検討部会を発足して、「健康食品に関する19のメッセージ」を報告書にまとめました。

そのメッセージの中で、「健康食品だから、たくさんとっても大丈夫と考えない」「同じ健康食品や成分を長くとった場合の安全性は正確にはわかっていない」「ビタミン、ミネラルのサプリメントによる過剰摂取に注意する」、そして、「現在の日本では、通常の食事をしていればビタミン・ミネラルが不足することはまれである」としています。

もし、ビタミンやミネラルが不足しているとしたら、それは、栄養不足を引き起こす何か病気が潜んでいるか、あるいは、偏った食事のとり方に問題があるということです。栄養不足を引き起こす病気はそれほど多くないので、栄養バランスを意識した食事に見直すことで改善できそうです。

とは言え、現代の女性は家庭と仕事の両立など、一昔前と状況が変わってきています。外食やお惣菜などに頼らざる得ない時は、1~2週間ほど、食事メニューを記録し、不足気味な栄養を計算して、サプリメントなどによって適量を補うのも1つの方法です。

野菜には未知の栄養がいっぱい

肉や魚、野菜などの食材にふくまれているミネラルやビタミンは従来から分析され、どんな働きがあるのかわかってきました。栄養学の進歩により、妊娠をサポートする栄養素も明らかになってきました。

その一方で、実はまだ名前もつけられていない、機能もはっきりわかっていない未知の成分が、食べ物にはたくさん含まれていることもわかっています。その数は、数百種類にも及ぶと考えられています。

たとえば、トマト1つとってみても驚くほどの成分をもっています。いくつもっていると思いますか?

なんと869の成分です。そして、そのうちの494の成分は、未知の成分です(かずさDNA研究所が2008年に発表)。この未知の成分の中には、妊娠にとって有効な栄養成分も含まれているとみられています。トマトだけでも500近くの未知の成分があるのです。

もちろん、他の食べ物にもまだわかっていない有効成分がたくさん含まれていると考えられています。今後、研究が進めば、妊娠に必要な新たな有効成分も明らかになってくることでしょう。

妊活のための食事のとり方

東洋医学的な視点から、どのように食事をとるとよいかについて大原則をあげれば、まず食事の内容が偏らないようにすることです。

いろいろな食べ物をとりましょう

先述のように、食べ物には、妊娠に必要なビタミンやミネラルをはじめ、まだわかっていない未知の有効成分もたくさん含まれています。ビタミンDや葉酸などは、妊娠によいと言われている栄養素ですが、これは、「今の栄養学でわかっている範囲内」での話です。これ以外にも、妊娠に必要な栄養はたくさんあると考えられています。

妊娠のプロセスはとても複雑なものです。女性は一生分の原始卵胞をもって生まれてきます。原始卵胞とは、卵胞のもとになる細胞です。1つの原始卵胞の中に、1つの未熟な卵子があります。思春期になると、それまで休眠していた原始卵胞は自主的に発育を開始します。未熟だった卵子も、卵胞の発育とともに成長します。卵胞はおよそ6ヶ月以上かけて成熟し、排卵します(卵胞の成長期間については諸説あります)。

この期間中、卵胞・卵子の成長を促すために、様々なホルモンや生理活性物質が分泌されます。このホルモンや生理活性物質が不足すると、卵胞が順調に育たなかったり、質の良い卵子が育たなかったりします。

ホルモンや生理活性物質のもとになるのは、みなさんが食べたものです。消化と吸収を経てかたちを変えて、ホルモンと生理活性物質はつくられます。

しかし、これらの生成に必要な栄養成分は、残念ながらまだすべて明らかになっていません。未知の栄養成分の中にも、ホルモンや生理活性物質の生成に必要なものが含まれている可能性はあります。だからこそ、いろいろな食材を食べることが大切なのです。

食事の内容が偏らないようにいろいろな物を食べて、妊娠によい栄養素も、未知の栄養成分もバランスよくとることを心がけましょう。

季節にあった食べ方をしましょう

また、東洋医学では、季節体質にあった食事をとることで、健康や治療に役立ててきました。その食材が身体を温める作用、冷やす作用で分類し、季節や体質に応じてとることが健康、つまり、妊娠体質につながるという考え方があります。

夏野菜など冷やす作用のあるものを食べると、体内の熱を下げてくれます。暑い夏に新鮮なキュウリやトマトを食べれば、暑さがしのぎやすくなります。寒い冬には、温める作用のある冬野菜を食べると、身体を温めてくれます。根菜類のゴボウ、ニンジン、大根など火を通した食材は身体が温まります。昔は、旬の物を食することで、夏は暑さがしのげ、冬は冷えを予防できていたのです。

ところが、現代では真冬でも夏野菜のサラダを食べることができます。このため、現代は身体が冷えやすい食事になっていると言えます。

しかし、トマトやナスなどの夏野菜も、煮込みやスープなどにすることで、身体を温める食材になります。スープも一緒に飲み干せば、溶け込んだ栄養素もすべてとることができます。

食べ物には、それぞれ大切な栄養素が含まれているので、夏野菜は身体を冷やすから食べないではなく、調理の工夫をし、季節にあった食べ方をして、妊娠しやすい温かいからだになりましょう。

温性の食材(=身体を温める作用)

カボチャ、ショウガ、ニンニク、ネギ、ニンジン、唐辛子、マグロ、イワシ、アジ、サバ、豚肉、牛肉、レバー、リンゴ、味噌、玄米など

冷性の食材(=体内の熱を下げる作用)

トマト、ナス、キュウリ、セロリ、レタス、アサリ、カキ、バナナ、スイカ、メロン、ナシ、白砂糖、小麦粉など

ここで注目していただきたいのは、砂糖と小麦粉です。砂糖の原料のさとうきびは、南の地方で採れます。南方で採れる食材には、身体の熱を下げる作用のものが多くあります。

砂糖もその1つで、ケーキやチョコなど甘い食べ物には冷やす作用があるので、食べ過ぎには十分注意してください。楽しみとしてほどほどに食べるのが良いでしょう。

そして、もう1つは小麦粉です。近年、お米をあまり食べずに、パンやパスタを主食としている人が増えてきています。これらも体内の熱を下げる作用があるので、毎日、主食とすることはお勧めできません。しかし、最近はおいしいパン屋さんやパスタ屋さんもたくさんあります。甘い物と同様に、時々楽しみで食べるのが良いでしょう。

このように食材には、それぞれ働きがあり、大切な栄養素があります。旬の物を中心に、色々な食材をバランス良く食べて、妊娠しやすい温かい身体をつくりましょう。

冷たい飲食物は控え目にしましょう

アイスや冷たいジュースなどは、暑い夏にはとてもおいしいですが、摂り過ぎには注意してください。とういうのも、胃腸が消化・吸収しやすいものは体温よりも高い飲食物だからです。

温かい飲食物は胃腸にやさしく、消化がスムーズですが、逆に冷たい物は胃腸の温度が下がり、消化吸収が妨げられます。さらに、飲食物の温度を体温と同じ位にしなければ消化吸収されにくいため、温度差が大きいほど余分なエネルギーが消化に使われることになります。つまり、冷たい飲食物を摂ると、自分自身のエネルギー(熱)が使われるため、身体は冷えるのです。

さらに、冷たい飲食物は胃腸の血管を流れる血液を冷やしてしまいます。冷えやされた血流は全身をめぐり、結果的に体全体が冷やされてしまいます。

妊娠には温かいからだが適しています。なぜなら、卵子や受精卵の発育には、温かな環境が必要だからです。

夏、暑い野外では熱中症対策として冷たい物はいいですが、クーラーの効いた涼しい室内や寒い時期は、控え目にしましょう。

まとめ

  • ・栄養学の進歩により、妊娠に必要な栄養素が明らかとなってきました。これに伴い、未知の栄養成分も次々と発見されています。今後研究が進めば、妊娠に必要な栄養成分はさらにわかってくることでしょう。
  • ・質の良い卵子と元気な精子がつくられ、1つの受精卵(細胞)が胎児に成長するまでの全過程を支えているのは、多種多様な栄養成分です。
  • ・人は、今よりもずっと食料事情のよくない時代から、新しい命を授かってきました。現在の日本で、通常の食事をしていて栄養不足になることはないと言われています。
  • ・旬の物を中心に、さまざまな食材をまんべんなくとりましょう。からだを冷やす飲食物は控えて、栄養バランスのとれた食事を、一日3回、規則正しく食べて、妊娠しやすい温かいからだになりましょう。
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参考文献:赤ちゃんが欲しい人の本 西東社、赤ちゃんほしいね 日本文芸社

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