PMS(月経前症候群)の鍼灸治療
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PMS(月経前症候群)の鍼灸治療

もくじ

PMSとは?

PMS(月経前症候群)とは“Premenstrual Syndrome”という英語の略称です。

PMSは、月経(生理)の数日〜2週間ほど前からあらわれる不調で、月経がはじまると症状は軽くなり、やがて消えていきます。

多くの女性が月経の前になんらかの症状を抱えていると言われています。

PMSの症状

PMS(月経前症候群)には、以下のような「こころの症状」「からだの症状」があります。

こころの症状

イライラする、怒りっぽくなる、悲しくなる、憂鬱な気分になる、情緒不安定になる、集中できないなど。

からだの症状

疲れやすい、からだがだるい、のぼせる、眠れない、下腹部がはる、乳房がはれる、食欲がない、逆に食べ過ぎてしまう、甘いものが欲しくなる、手足がむくむ、頭が痛い、腰が痛いなど。




PMSの特徴は、こころの症状を伴うケースが多いことです。

そして、PMSの症状は人によってさまざまで、200種類以上あるとも言われています。

また同じ人でも、月によって症状が変わることもあります。

PMSのメカニズム

PMSの発症は、さまざまな説があり西洋医学でもまだはっきりしたことはわかっていません。

しかし、有力な説がいくつかあるのでここで紹介します。

女性ホルモンの変化

月経周期に伴う女性ホルモンの変化が影響しているのではないかと言われています。

まず、月経周期における女性ホルモンの変化をみてみましょう。




卵胞期は、卵胞から卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が増えます。

排卵すると、卵胞は黄体に変化して、今度は黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増えます。

これを黄体期といい、PMS(月経前症候群)の症状があらわれる時期にあたります。

この時期のホルモンバランスの変化が影響して、PMSの症状があらわれるのではないかと考えられています。

脳内ホルモンと神経伝達物質の不足

セロトニンという神経伝達物質は、人の感情に関する情報を伝達する物質で、セロトニンが不足するとうつ傾向になります。

セロトニンは女性ホルモンと関係があり、卵胞ホルモン(エストロゲン)が欠乏するとセロトニンの分泌量も低下し、PMSの症状であるネガティブ思考や気持ちの落ち込みが起こると考えられています。

また、β-エンドルフィンという脳内ホルモンは幸せな気分にしてくれます。

月経前にはβ-エンドルフィンが低下するため、こころの症状があらわれやすくなるとも言われています。

しかし、セロトニンやβ-エンドルフィンはストレスなどの影響も受けるため、月経前症候群は女性ホルモンの増減だけが原因ではなく、多くの要因から起こると考えられています。

近年、体内で利用されているセロトニンの95%以上は、腸内細菌が産出していることがわかり話題となりました。

その他にも、ドーパミン、ヒスタミン、GABAなどの神経伝達物質も腸内細菌がつくっていることがわかっています。
詳しくはこちら 腸内フローラと脳の関係

神経伝達物質の低下は、ホルモンバランスだけの問題だけではないようです。

余分な水分の貯留

黄体期には黄体ホルモン(プロゲステロン)が増加し、その影響でむくみが出やすくなると考えられています。

黄体ホルモン(プロゲステロン)には、「基礎体温を上げて妊娠を維持する」というはたらきがあります。

そしてもう1つ、「水分を貯める」というはたらきも持っています。

これは妊娠した際に、お母さんは赤ちゃんのために水を集める必要があるからです。

胎内を羊水で満たし、赤ちゃんが発育しやすい環境を整えます。

この状態をつくるのが、黄体ホルモン(プロゲステロン)です。

このため、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増える排卵後の黄体期や妊娠期は、むくみが出やすくなると考えられています。

また、余分な水分が乳房にたまれば乳房の痛みに、頭にたまれば頭痛を引き起こす要因になると言われています。

血糖値の低下

生理前はインスリン(血糖値を下げるホルモン)の効果が低下するため、血糖値が上がりやすくなります。

血糖値が上がると、からだの中では、血糖値を下げるために、多量のインスリンが分泌されます。

このため、今度は低血糖状態になり、甘いものが食べたくなるなどの症状がでると考えられています。

自律神経の乱れ

月経周期にともなう女性ホルモンの変化によって、自律神経が影響をうけ、動悸、めまい、のぼせ、不眠などの自律神経失調症のような症状があらわれると考えられています。

自律神経失調症とは、「自律神経の調子がみだれることで、さまざまな不定愁訴がみられる状態」をいいます。

自律神経は胃腸を動かしたり、心臓の拍動や体温の調整をするなど自分の意思とは関係なく働く神経で、普段無意識にしている呼吸、消化、排泄、発汗、体温調整、睡眠などをコントロールしています。

自律神経はからだの全ての器官をコントロールする、制御装置です。

ですから、この制御装置の乱れからおこる自律神経失調症の症状は、頭、耳、皮ふ、消化器、循環器、生殖器など、からだのいたる所にあらわれます。

そして、あらわれる症状も、疲れが取れない、よく眠れない、食欲がない、めまいがする、頭が痛い、手足がむくみ冷える、肌が荒れる、肩がこる、腰がいたいなど、人によって千差万別です。

同じ人でも日によって症状がかわることもあります。

このように、自律神経の乱れから起きるからだの不調は、PMSの「からだの症状」とよく似ています。




また、自律神経の調節を司る中枢は、脳の視床下部というところにあります。

ここには、自律神経の調節中枢だけではなく、女性ホルモンの分泌中枢や怒り・不安感などの情動中枢も集まっています。

しかも、これら3つの中枢は極めて近くにあり、密接に連動していると言われています。

このため、黄体期におきるホルモンバランスの変化が自律神経に影響を及ぼし、自律神経症状を引き起こすと考えられています。

さらに、近接する情動中枢も影響をうけることで、イライラ、不安感など「こころの症状」がおきやすくなると言われています。

PMSになる人とならない人

西洋医学では、女性ホルモンの変化に伴う、「脳内ホルモンや神経伝達物質の低下」、「水分の貯留」、「血糖値の変化」、「自律神経への影響」など、様々な要因が複合してPMSの症状を引き起こしていると考えられています。

しかし、健康な女性であれば月経はだれにでもあるものです。

ホルモンの変化もだれにでも起きていることです。

それなのに、なぜ、PMSを発症する人としない人がいるのでしょうか?

そこにPMS(月経前症候群)の根本原因があると東洋医学では考えています。

PMSの根本原因と鍼灸治療

一般に、責任感が強く几帳面な人やストレスを受けやすい人は、PMS(月経前症候群)を発症しやすいと言われています。

しかし、このような人が必ずPMS(月経前症候群)になるとも限らないのです。

これだけ進んだ西洋医学においても、なぜPMSになる人とならない人がいるのか、はっきりとした原因はわかっていません。

冷えは万病のもと

一方、東洋医学では、昔から「冷えは万病のもと」と言われてきました。

からだに備わっているさまざまな機能が冷えにより低下する考えられています。

ひとのからだは、生活習慣やストレス、外傷、環境などの要因により、気血の流れにかたよりやとどこおりが起きます。

そしてだんだんと体の芯に「冷え」が生じ、からだに備わっている力(機能)が低下していきます。

この冷えを「根元的な冷え」といい、病の根本原因と考えています。

では、からだに備わっている力(機能)とはどのようなものなのでしょうか?

自己治癒力

みなさんのからだには健康な状態を保とうとする力や、から回復しようとする力が備わっています。

東洋医学では、これらの力を総称して、自己治癒力とか自然治癒力と呼んでいます。

先述の月経周期にともなう「水分を貯留するはたらき」も自己治癒力の1つです。

赤ちゃんを授かるためになくてはならない力です。



そして、水を貯めるはたらきがある一方で、余分な水分を排出するはたらきも備わっています。

もし、この力がなければ女性は全員、黄体期や妊娠期にむくみが生じることになります。

そうならないように、みなさんのからだには「余分な水分を排出する」というはたらきも備わっています。

生理学的には、浸透圧調節系と容量調節系という仕組みがからだの水分量を調整しています。

「水分量の調節力」も、東洋医学でいう自己治癒力の1つといえます。

手足のむくみ、乳房のはれ、頭痛などPMSの症状があらわれやすいひとは、水分を貯留するはたらきと排出するはたらきのバランスが崩れ、「水分量の調整力(自己治癒力)」が低下している状態なのです。

陰陽論

このようにひとのからだには、水分量を調整する力、すなわち、自己治癒力があります。

そして、水分を貯めるはたらきがある一方で、水分を排出するという正反対のはたらきもあり、相反する2つのはたらきがバランスをとることでからだを健康に保っています。

東洋医学では人のからだには、の2つのはたらきがあり、陰陽のバランスが保たれている状態が良いと言われてきました。



東洋医学の基本概念に陰陽論という考え方があります。

すべてのものには二面性、があり、そして陰陽は相対的なものと考えます。

一方が陰なら一方は陽です。反対のものでありながら、調和する、それが陰と陽です。

たとえば、女性(陰)と男性(陽)、1人の人を見た場合は、下半身(陰)と上半身(陽)などです。

人のからだのはたらきでは、「水分を貯める機能」と「水分を排出する機能」は、まさに、陰陽を意味しています。

このような陰陽のはたらきは、「水分量の調整」以外にもたくさんみつかっています。

神経伝達物質や脳内ホルモンを調節するしくみにも陰陽があります。

セロトニンやβ-エンドルフィンが女性ホルモンの作用で不足する一方で、腸内細菌網のように神経伝達物質を増やすしくみもあります。

先述の自律神経にも、相反するはたらきをする2つの神経、つまり、交感神経副交感神経があります。

交感神経は、血圧をあげるなど、活動時に優位にはたらく神経でアクセルの役割があります。

一方、副交感神経は逆に血圧を下げ、気持ちを落ち着かせるなど休息時にはたらく神経で、ブレーキの役割があります。

この交感神経副交感神経が状況に応じてバランスよくはたらくことで、からだの健康は保たれています。

交感神経と副交感神経も、まさにの関係です。

ちなみに、血糖値調整も自律神経が行っています。

このように、東洋医学で数千年も前から言われてきた陰陽のはたらきが、科学の発展により具体的に明らかになってきました。

陰があるから陽があり、陰だけ、あるいは陽だけが単独であるのではないのです。

PMS(月経前症候群)の鍼灸治療

普段は、陰陽がバランスよくはたらき、自己治癒力によってからだの健康は保たれています。

しかし、何らかの理由で陰陽のバランスが崩れると、自己治癒力は低下しさまざまな症状があわれます。

西洋医学では、女性ホルモンの変化に伴う、「脳内ホルモンや神経伝達物質の低下」、「水分の貯留」、「血糖値の変化」、「自律神経への影響」などがPMSの原因と考えています。

しかし、月経周期における女性ホルモンの変化は、健康な女性ならだれにでもおきることです。

「脳内ホルモンや神経伝達物質の不足」、「水分の貯留」、「血糖値の変化」、「自律神経の乱れ」は、PMSの原因ではなく結果なのです。

からだが「冷え」陰陽のバランスが乱れ、自己治癒力が低下し、その結果、脳内ホルモンや神経伝達物質が不足したり、水分が貯留したり、血糖値が低下したり、自律神経のバランスが乱れるのです。

つまり、PMS根本原因「冷え」なのです。

あらわれる症状は、そのひとの体質や生活習慣、生活環境などの背景によってさまざまです。

大切なのは、PMSの根底には「冷え」があるということです。

鍼灸は、数千年におよぶ治療の積み重ねの中で、からだに備わっている「陰陽のはたらき」を解明し、「冷えと病」の関係を明らかにしてきました。

そして、その考え方と治療法は脈々と現代にまで受け継がれてきています。

はなもも鍼灸治療では、「根本原因である冷えを解消することで、陰陽のバランスを整えて自己治癒力を回復し、PMS(月経前症候群)の改善を導く」という根本治療を行っています。

PMS(月経前症候群)でお悩みの方、ぜひ一度、はなもも鍼灸治療院へご相談ください。


最後に

近年、「体温が1度下がると、免疫力は30%低下する」ことがわかり、西洋医学の分野でも「冷えと病」の関係が注目されるようになりました。

また、生殖機能の低下なども「冷え」と関係していると言われています。

産婦人科でも、「からだを冷やさないように」とアドバイスするところが増えてきたようです。

東洋医学で昔から言われてきた、「冷え」がからだに及ぼす影響が、だんだんと科学的に明らかになってきたのです。

しかし、一般に「冷え」というと、「手足が冷たい」とか「寒がり」というような温度感覚の「冷え」を指していますが、東洋医学における「冷え」は、温度感覚の「冷え」だけでなく、実はもっと大きな意味を持っています。

東洋医学における「冷え」の本質については、こちらで詳しくお話しします。
冷えの本質~冷えをとり、自己治癒力を高める鍼灸治療~

 

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