冷え症の原因と対策
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冷え症の原因と対策

近年、冷え症(冷え性)に悩まされている人が増えています。これを裏付けるように、日本人の平均体温は昔と比べて低くなってきています。およそ50年前の日本人の平均体温は36.89度。現在の平均体温は36.20度と言われています。

これは、現代社会で冷える原因が増えているからと考えられます。ここでは、東洋医学と西洋医学の知見から、冷え症の原因と対策をお話しします。

体温の作られ方

わたしたちはなぜ冷えるのでしょうか?そもそも体温はどうやってつくられているのでしょうか?

冷え症の原因と対策を理解するには、まず体温の仕組みを知ることが大切です。 そこで、わたしたちのからだはどのようにして体温を作り出しているのか、生理学に基づいてお話しします。

基礎代謝

わたしたちのからだは、約60兆個の細胞から構成されています。皮膚、骨、筋肉、内臓などすべて細胞が集まってできています。1つ1つの細胞が、食事でとった栄養素や呼吸で得た酸素を燃料にして、活動エネルギーをつくりだすことで、生命活動は支えられています。これを基礎代謝といいます。

そして、このエネルギーをつくったり、利用する過程で「熱」が発生します。これが「体温」です。基礎代謝による産熱は、体温全体の大きな割合を占めています。冷え症の原因と対策を考える場合、「代謝」が1つのポイントになります。

食事で誘発される熱

食後は、消化器のはたらきが高まり、吸収された栄養素の代謝が増加して熱が発生します。食後、からだが温かく感じるのは、代謝が上がり熱がつくられるからです。この産熱を食事誘発性産熱といいます。

筋肉による産熱

代謝以外では、筋肉が収縮するときにも熱は発生しています。激しい運動をするとからだが暑くなるのはこのためです。座っている時や立っている時にも、姿勢を保持するために、筋肉は緊張し収縮するので産熱が行われます。また、寒い時にはガタガタとからだが震えますが、これはふるえ産熱といい、筋肉が細かく収縮することで熱をつくっています。

非ふるえ産熱

筋肉のふるえ産熱に対して、代謝を積極的に高めることで行う産熱を非ふるえ産熱といいます。非ふるえ産熱は、肝臓などの臓器でおこります。特に、褐色脂肪組織という特別な脂肪組織は、肩甲骨の間などに存在し、積極的に熱を産生することで体温の維持に貢献しています。褐色脂肪組織は新生児で特に多く、成人になると少なくなります。

ホルモン作用による産熱

黄体ホルモン(女性ホルモン)は代謝を促進する作用があり、排卵直後から月経にいたるまでの間、基礎体温を上昇させます。排卵後に体温が上がるのは、妊娠には温かな環境が必要だからです。黄体ホルモンは、代謝を上げて、妊娠の成立に最適な体温をつくりだす役割があるのです。

以上のように、体温は主に60兆個の細胞で行われる「代謝」と、日常生活の動作や運動などで起こる「筋収縮」によって生まれています。特に「代謝」は、体温の大きな割合を占めており、食事や女性ホルモンなどの作用によって、その働きは高まる仕組みになっています。

体温の運ばれ方

からだの内部では、いつも熱(体温)がつくられていますが、この熱はどのようにして全身に運ばれているのでしょう。それは、「血流」です。血液の流れにのって熱が全身に運ばれることで、わたしたちは体温を保持しています。

「血流は大切」とよく言われますが、それはこのような理由からです。血行が悪いと、からだは冷えるのです。

冷え性の原因と対策

体温は、食事でとった栄養と呼吸で得た酸素を燃料にして、エネルギーを作り出す過程で生まれ、血流にのって全身に運ばれます。」

この体温の仕組みが理解できると、冷え症の原因と対策がわかってきます。食事と血流は、とても重要な要素になります。では、冷え症の原因と対策についてみていきましょう。

偏った食生活や無理なダイエット

体温のもとになるのは、食事でとった栄養素です。栄養素は血流にのって約60兆個の細胞に運ばれ、それぞれの細胞で活動エネルギーがつくられ、その過程で熱が生まれます(代謝による産熱)。

エネルギーがつくられるプロセスはとても複雑で、さまざまな栄養素が関与していると考えられています。野菜や肉、魚、果物など、まんべんなく色々な物を食べることで、必要な栄養素を過不足なくとることができ、熱が十分に産出されるのです。一般に「バランスの良い食事が大切」と言われるのはこのためです。

ところが、偏った食生活をしていると、燃料になる栄養素が足りないため、代謝は低下してしまい、十分な体温が作られなくなります。偏食を続けていると、やがて慢性的な「冷え症」となります。

冷えがつよいと感じている方は、バランスの良い食事がとれているか、栄養が偏っていないか、食生活を見直してみましょう。

からだを冷やす食べ物

食事について、東洋医学の面からも見てみましょう。東洋医学では、季節にあった食べ物を食べることで健康に役立てるという考え方があります。

一般に、夏野菜はからだを冷やす作用を持つので、エアコンのなかった時代は、夏野菜をとることで、体温調整がうまくできていました。反対に、冬は、からだを温める作用を持つ根菜類などの冬野菜を食べることで、冷え症の予防になっていたのです。ところが、今は真冬でも夏野菜がお店に並び、私たちは普通に食べることができます。

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季節にあった食べ方

また、冷たい飲食物も冷え症の原因になります。冷たい物は、体温を下げます。猛暑の日など屋外で冷たい物を摂ることは、熱中症対策として良いのですが、エアコンの効いた室内で、あるいは、寒い真冬に冷たいアイスなどを食べると、からだを中と外から冷やすことになります。

このように、現代人の食生活は、昔と比べてからだを冷やしやすい傾向にあります。「しもやけ」や「月経痛・月経不順」に悩まされている方、また、妊活中の方や妊婦さんなどは、冷えやすい食事にならないように気をつけましょう。

血流の乱れ

ここからは、冷え症を招くもう1つの要素、「血流」の影響についてお話しします。まず、血流の仕組みについて見ていきましょう。

血流は、血管が収縮したり拡張したりすることで、その流れは変化します。血管が拡張すると、血行は良くなります。反対に、血管が収縮すれば、血流は緩やかになります。適度な収縮は良いのですが、収縮しすぎると血流は悪くなり、冷え症の原因になります。

では、血管の収縮・拡張はどのようにコントロールされているのでしょうか? それは、自律神経によって調整されています。

自律神経とは、体温調整をしたり、内臓を動かすなど、からだの働きを調整する神経です。生命活動のほとんどは、自律神経が行っているので、安定した調整力が求められます。

それを担っているのが、2つの自律神経である交感神経と副交感神経です。副交感神経は血管を拡張して血行を良くし、交感神経は血管を収縮して血行を穏やかにするなど正反対の働きをしています。

また、わたしたちは夜になると眠くなりますが、これは自律神経の「日内リズム」のためです。昼間は交感神経が優位にはたらき、仕事や運動など活動的になり、夜間は副交感神経が優位にはたらき、休息や睡眠に適した状態になります。このように2つの自律神経(副交感神経と交感神経)は「日内リズム」に沿ってバランスをとりあい、からだを調整しています。

そんな自律神経のバランスを崩すのが、悩みや心配事などの精神的なストレスや、からだに無理を強いる肉体的なストレスです。

自律神経の乱れによる血行不良

からだの無理や、悩み事を抱え続けると交感神経が過緊張して、血管が収縮して血流が悪くなります。すると、熱がからだの隅々まで行き渡らなくなり、冷えを感じるようになります。これが、冷え症のはじまりです。このとき、十分な休養をとり、副交感神経が優位になれば、血管は拡張して血流は戻ります。そして、血流にのって体温が全身に運ばれ、間もなく冷えは改善されます。

ところが、交感神経の緊張状態が続くと慢性的な「冷え症」となり、日常的にみられる、さまざまな体調不良や病気が引き起こされることになります。

「ストレスは身体によくない」と言われる理由はここにあります。ストレスにより交感神経が過緊張に陥って血流が悪くなり、その結果、「冷え症」となるのです。ストレス社会で暮らしている現代人は、自律神経バランスの乱れから引き起こされる、「慢性的な冷え症」に悩まされる人が多いと言われています。

「無理な生き方や心の苦悩が冷えを招く」ということを理解し、限界を超えない生き方が大切です。

肌の露出による血行不良

血管の収縮・拡張は体温調整の役割もあります。例えば、寒い時には、交感神経が優位にはたらき、血管は収縮して肌からの放熱を防ごうとします。夏、クーラーの効いた部屋に、長時間、薄着でいると、だんだんと交感神経が過緊張状態になり、血管が過剰に収縮し血流が悪くなります。特に手足の末端の血流量が低下し、熱が指先まで届かなくなります。真夏に冷え症のひとが増えるのはこのためです。

肌の露出の多い服装をしていると、放熱を防ごうととして交感神経が過剰にはたらき、血管を収縮させてしまいます。暑くないときは肌の露出はひかえ、交感神経が過緊張に陥らないように気をつけましょう。妊活中の方にお薦めしている、5本指靴下や腹巻などで保温を心がけると良いでしょう。

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