妊娠に関わる女性ホルモンの働き
生理や排卵は女性ホルモンが深く関わっているので、妊娠をめざすには正常なホルモン分泌が大切です。
その仕組みや働きが理解できれば、妊娠に一歩近づくはずです。ここで確認しておきましょう。
女性ホルモンの仕組み
女性ホルモンには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2つがあり、卵巣から分泌されます。約1か月サイクルで変化するその分泌量は、脳がコントロールしています(下図)。
脳にある視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が分泌されると、その刺激で下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)が分泌されます。
さらに、これらの作用で卵巣から2種類の女性ホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌される仕組みになっています。
女性ホルモンの分泌量は脳がいつもチェックしていて、その増減を常にコントロールしています(フィードバック機能)。
ところが、視床下部には、ホルモン中枢のすぐ隣に自律神経の中枢もあります。このため、ストレスなどで自律神経が乱れると、ホルモンバランスが不安定になり妊娠や生理に影響が出てしまいます。また逆も言えて、ホルモンバランスが崩れると、自律神経はますます乱れるという悪循環に陥ってしまいます。
妊娠に関わる女性ホルモンの働き
妊娠のプロセスに沿って女性ホルモンの働きを見ていきましょう。
【①卵胞の成長】
まず、脳の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が分泌されると、その刺激で下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されます。FSHが血流にのって卵巣に到着すると、その作用で原始卵胞(卵胞の元になる細胞)が成長を開始します。
【②子宮内膜の発育】
卵胞が大きくなってくると、次に卵巣から卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されて、その作用で子宮内膜が厚くなり始めます。
【③排卵】
卵胞が成熟して卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量がある一定濃度を超えると、これを感知して視床下部は、今度は卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌は抑えて、代わりに黄体化ホルモン(LH)を分泌するように下垂体に指令を出します(ポジティブフィードバック)。
つまり、「卵胞が排卵できる状態に成熟したので、もう卵胞刺激ホルモン(FSH)はいらないよ」「代わりに、排卵をうながす黄体化ホルモン(LH)を分泌して」と命令するわけです。これにより、排卵が起こります。
【④着床準備】
排卵後、卵巣は黄体に変わり、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌します。この2つの女性ホルモンの働きで、子宮内膜は厚くふかふかに成長して、受精卵が着床しやすい状態に整います。
【⑤妊娠】
受精卵が着床して妊娠すると、引き続き黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されて妊娠は維持されます。
もっと知りたい、女性ホルモンのこと
女性ホルモンの働きはもっとあります。さらに詳しく見ていきましょう。
卵胞ホルモン(エストロゲン)の作用
排卵前に精子が子宮内に入りやすくなるように、子宮頸管粘液(おりもの)の性質を変えて分泌量を増やします。これにより受精が起こりやすくなります。
また、妊娠中は黄体ホルモン(プロゲステロン)と協力して、乳汁の分泌を抑えたり、赤ちゃんの成長に合わせて子宮を強く大きくする作用があります。
妊娠に関わる働き以外にも、思春期に乳房を発達させて女性らしいカラダにしたり、コラーゲンの合成を促進して艶のある肌を保つなど、女性にとってうれしい働きをしてくれます。
さらに、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やしてLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を低下させたり、骨粗鬆や動脈硬化を予防するなど、カラダの健康維持に重要な役割を果たしています。
黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用
排卵後しばらくすると、細菌などが子宮内に入り込まないように子宮頸管粘液の性状を変化させます。こうすることで精子も通過しにくくなりますが、外敵の侵入を防いで感染症から守っています。
その他には、基礎体温を上げたり、精子や受精卵のエネルギーになる分泌物を子宮内膜から分泌させる作用があります。
また、妊娠中は乳汁を作る乳腺腺房を増やしたり、卵胞ホルモン(エストロゲン)と協力して乳汁の分泌を抑えたりします。
参考までに、妊娠すると女性ホルモンの作られる場所は卵巣から胎盤に移り、胎盤ホルモンと呼ばれるようになります。

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