不妊症の原因になる疾患
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不妊症の原因になる疾患

妊娠が成立するためには、妊娠の一連の流れがスムーズに行われる必要があります。

不妊症は、この過程のどこかにトラブルが潜んでいる場合が多く、女性に起きる要因と男性に起きる要因があります。

一般に、排卵因子、卵管因子、男性因子の3つが不妊の3大要因で、それぞれ同じぐらいの割合と言われています。 その他に、子宮因子、年齢因子、免疫因子などがあります。

病院ではまず、妊娠を妨げている疾患がないか検査をして調べることからはじまります。

ここでは、不妊症の原因となる疾患には、どのようなものがあるのか、西洋医学の視点から詳しくお話します。

1.排卵因子

排卵とは、成熟した卵子が卵巣の外に飛び出すことです。卵子がうまく育たない、あるいは、育っても排卵できないことを排卵障害と言います。

そのほとんどは、無月経や月経不順というホルモンのアンバランスとなって現れます。

排卵がきちんとおきているかは、基礎体温表である程度判断できます。通常、基礎体温のグラフは、排卵日を境に、前半は低温相、後半は高温相の二相に分かれます。これが二相に分かれていない場合は、排卵がないことが疑われます。

病院では、超音波検査や尿または血液によるホルモン検査により、排卵の有無を調べます。その結果、基礎体温表では二相に分かれていても、排卵がないことが判明することがあります。

排卵障害を引き起こす要因は、卵胞刺激ホルモンや黄体化ホルモンなどの排卵を起こすホルモン分泌の乱れや、卵巣機能の低下などで、主な病気には多嚢胞卵巣症候群(たのうほうらんそうしょうこうぐん)や性腺刺激ホルモン分泌障害、高プロラクチン血症、黄体化非破裂卵胞などがあげられます。

また、自律神経女性ホルモンの分泌に深く関与しているため、自律神経の乱れが排卵障害を招くことがあります。ストレス、体重減少なども要因になることが多いと言われています。

病院では一般に、排卵誘発剤を使って排卵を促す治療が行われます。薬が処方され、排卵が起きるか様子をみます。

効果が見られない場合、注射薬が検討されます。ただし、注射薬は効き目が強く、過度に卵巣が腫れ上がる卵巣過剰刺激症候群になりやすいため注意が必要と言われています。

では、排卵障害の要因となる主な5つの疾患についてお話しします。

 (1)多嚢胞卵巣症候群

 (2)性腺刺激ホルモン分泌障害

 (3)高プロラクチン血症

 (4)卵巣機能低下症

 (5)黄体化非破裂卵胞

多嚢胞卵巣症候群

多嚢胞卵巣症候群は、排卵障害の中ではもっとも多い病気で、卵胞が卵巣の中で成熟できず、卵巣の皮質に小さな卵胞がたくさん残っている症状です。

超音波検査で卵巣をみると、真珠のネックレスのような状態が観察され、ネックレスサインと呼ばれています。また、黄体化ホルモンや男性ホルモンが過剰に分泌されることで、卵巣の外側の膜が厚くなり、ますます排卵しにくくなります。

原因は解明されていませんが、複数の要因が重なって起きる病気と考えられています。

自覚症状としては、月経不順や無月経、基礎体温表の乱れなどがあります。男性ホルモンが多く分泌されているため、肥満や多毛、肌荒れ、にきび、声の低音化などが起こることもあります。

性腺刺激ホルモン分泌障害

排卵は卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンという2種類の性腺刺激ホルモンを卵巣が受け取ることで起こります。

性腺刺激ホルモンは脳下垂体から分泌されますが、その分泌をコントロールしているのは脳の視床下部という部位です。

この視床下部の機能が低下すると、排卵が起こりにくくなります。これが性腺刺激ホルモン分泌障害です。

血液検査で血中のホルモン量を調べることで診断されます。

無理なダイエットや強いストレスなどが引き金となって視床下部の機能が低下するのでは、と考えられていますが、そのメカニズムはまだ解かっていません。

高プロラクチン血症

プロラクチンは、乳汁分泌ホルモンとも呼ばれ、母乳の分泌をうながすとともに、卵巣に働きかけて排卵を抑制する働きがあります。

出産後に脳下垂体から大量に分泌されるホルモンですが、何らかの原因で、産後以外のときに過剰に分泌されることがあります。

高プロラクチン血症で、排卵がなくなったり、受精卵の着床を妨げたりします。乳汁の分泌がみられる人もいますが、胸が張る、無月経、月経不順などの症状にあらわれることがほとんどです。

検査では血中のプロラクチン値を測って診断されます。

強いストレスの他、ピルや胃潰瘍の薬、精神安定剤、血圧を下げる薬などの長期服用による副作用が考えられています。

病院では、プロラクチンの分泌を調整する薬が使われています。また、ピルなどの薬の副作用が原因と診断されたときは、服用の中止も検討されます。

卵巣機能低下症

卵巣機能低下症とは、卵巣自体の機能が衰えることをいいます。

卵巣の中には卵子のもとになる原始卵胞がたくさん詰まっていますが、その数が極端に少なると、排卵が起こりにくくなります。

女性は加齢とともに卵巣機能が低下しますが、性成熟期の人にも起こる場合があり、若年性更年期障害と呼ばれることもあります。

原因は不明です。自覚症状としては、月経不順や無月経があります。

黄体化非破裂卵胞

黄体化非破裂卵胞とは、卵子が成熟しているにも関わらず卵胞が破裂しないため、卵子が飛び出せない状態を言います。

基礎体温表では低温相と高温相の2層に分かれていても、実際は排卵が起こっていないということになります。自覚症状がなく、基礎体温も正常なことから発見されにくいことがあります。

原因は解かっておらず、症状も毎月あるとは限りません。排卵がある月もあり、自然に治ることもあります。病院では、まずはタイミング法で様子をみたり、ピルを服用したりします。

2.卵管因子

卵管は卵子や卵巣と子宮をつなぐパイプの役割をする器官です。

卵巣から飛び出した卵子は、卵管采に取り込まれ、卵管膨大部で精子を待ちます。そして、膣から入ってきた精子と結びついて受精卵が誕生し、細胞分裂を繰り返しながら子宮へ運ばれます。

卵管は、長さ約10cm、内径約1mm前後のとても繊細な管のため、内部で詰まりや癒着(ゆちゃく)が起きると精子や卵子が通れず受精できないことや、受精卵が子宮へ移動できないことがあります。

卵管のトラブルは、不妊の30%~40%と言われています。卵管内部の幅が狭くなることを卵管狭窄(らんかんきょうさく)、完全に詰まってしまうことを卵管閉塞(らんかんへいそく)といいます。

卵管狭窄や卵管閉塞を起こす主な要因は、卵管の炎症や子宮内膜症です。

卵管炎が進行すると卵管采にも炎症が及び、卵巣から飛び出した卵子を取り込めなくなる卵管采のピックアップ障害になることも少なくありません。また、卵管間質部と卵管采の両方が閉塞し、卵管の中に分泌液などがたまって卵管が腫れてしまう卵管留水腫になることもあります。

では、卵管にトラブルを起こす、卵管の炎症と子宮内膜症についてお話ししたいと思います。

卵管の炎症

卵管が炎症を起こす原因には、クラミジア、淋菌、大腸菌、マイコプラズマなどの病原体による感染があります。特にクラミジア感染はほとんど自覚症状がないこともあり、炎症は膣から子宮内膜さらに卵管へと広がりやすいと言われています。

クラミジア感染症自体は、抗菌薬を服用することで治りますが、後遺症で卵管にダメージが生じることがあります。

子宮内膜症

子宮内膜症は、内膜組織が子宮内壁以外の場所で増殖し出血を繰り返す病気です。

子宮内膜症は卵巣にもできやすく、卵巣にできると炎症や癒着が卵管周囲まで広がり、卵管癒着や排卵障害を招くこともあります(卵巣チョコレート嚢胞(嚢腫))。

年齢が高い場合や病気の程度によっては体外受精が検討されます。

子宮内膜症の原因は、月経時に剥がれ落ちた子宮内膜を含む血液が、卵管の方に逆流して腹腔内に内膜組織が付着し増殖する説や、腹膜が内膜組織に変化する説などがありますが、いずれの説もまだ解明されていません。また、過去に虫垂炎などが原因で卵管炎の手術を受けたことがある人も、卵管周囲に癒着が起きている恐れがあります。

検査では、子宮卵管造影検査や通水検査を行って卵管内の癒着や閉鎖がないかを調べます。卵管の詰まりが軽い場合、造影剤などが卵管内を通ることで、詰まりが解消されることもあります。

3.子宮因子

卵管内で精子と結合した卵子(受精卵)は、細胞分裂を繰り返しながら子宮へ運ばれます。そして、子宮内膜の中にもぐり込みます。

これを着床といいますが、子宮になんらかの疾患があると、受精卵がうまく着床できないことがあります。

ここでは、着床障害の原因となる主な9つの疾患についてお話しします。

 (1)子宮筋腫

 (2)子宮腺筋症

 (3)子宮内膜ポリープ

 (4)子宮奇形

 (5)子宮内膜癒着

 (6)子宮内膜が薄い

 (7)黄体機能不全

 (8)子宮内膜増殖症

 (9)子宮体がん

子宮筋腫

子宮はやわらかな筋肉の層からできています。子宮筋腫は子宮の筋肉に発生する良性の腫瘍で、40歳前後の女性の約30%の人にあると言われています。

女性ホルモンの影響などが考えられていますが、はっきりした原因はまだわかっていません。

自覚症状はほとんどありませんが、筋腫が大きい場合、月経量が増え、貧血になることがあります。

子宮筋腫は筋腫が発生する場所によって3つに分類されますが、このうち妊娠の妨げになりやすいのは、子宮腔内まで突出する「粘膜下子宮筋腫」と子宮の筋層内にできる「筋層内子宮筋腫」です。

とくに「粘膜下子宮筋腫」は子宮腔内まで突出するため、小さな筋腫でも受精卵の着床の邪魔になることがあります。

筋腫があっても自然に妊娠できることが多いので、病院ではまずは様子をみます。

ただし、大きな筋腫の場合や明らかに不妊の原因となっている場合は治療が検討されます。治療にはホルモン治療と子宮筋腫核出手術があります。

ホルモン治療は女性ホルモンの分泌を抑えることで子宮筋腫の収縮を狙いますが、効果は一時的で不妊治療としてはあまり期待できないと言われています。

子宮筋腫核出手術は、子宮を残して筋腫だけを取ります。

子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)

子宮腺筋症は、子宮内膜とよく似た組織が子宮の筋層にできる病気です。

子宮内膜症の場合は子宮以外の場所に組織ができますが、子宮腺筋症子宮にできます。

本来は子宮の内側に増殖すべき子宮内膜が子宮の筋層に入り込んで増殖・出血するので、子宮の筋肉がかたく腫れ上がってしまいます。

子宮腺筋症は20代後半~30代後半の女性に多い病気で不妊や初期流産を引き起こすこともあります。

発生原因は、ストレスや免疫力の低下、冷えなど複合的なものと考えられていますが、詳しい原因はわかっていません。

自覚症状として、強い月経痛や月経過多などがあります。

病院での治療は、薬によるホルモン治療が行われますが、進行を抑えるだけで完全に治癒するわけではないと言われています。

薬による効果が見られない場合は、手術でかたくなった子宮の筋肉を切除します。ただし、健全な筋肉との境目を見分けるのが難しいため、子宮腺筋症のすべてを取り除くことは難しいと言われています。

子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープとは、子宮内膜の一部がポリープ(いぼ)状に増殖した良性の腫瘍です。ポリープが子宮を占拠してしまうと、受精卵が着床しづらくなることがあります。

発生原因は、炎症や分娩、流産、女性ホルモンの影響などが考えられていますが、はっきりしたことはわかっていません。

自覚症状として、月経期前後の不正出血があります。

病院での治療は、子宮鏡検査で発見することができ、その場で切除することもあります。

子宮奇形

通常の子宮は洋ナシのような形をしていて鶏の卵ぐらいの大きさがあります。

しかし、子宮鏡検査や子宮卵管造影検査などで子宮が生まれつき変わった形をしているのが見つかることがあります。形や程度によっては受精卵が着床しづらかったり、流産の原因となったりします。

子宮内膜癒着(しきゅうないまくゆちゃく)

子宮内膜癒着とは、子宮内膜が癒着して閉鎖し、受精卵が着床しづらくなった状態です。

癒着が起こる原因は、子宮内の炎症や流産などの手術で子宮内部が傷ついた場合などが考えられています。

自覚症状としては、月経の量が極端に少なくなったり、月経期間が短くなったりすることがあります。

病院での治療は、子宮鏡を使って癒着をはがす癒着剥離手術などが行われています。

子宮内膜が薄い

子宮内膜は着床後の受精卵を包み込むふかふかのベッドとなる組織で、卵巣内の卵胞が分泌する卵胞ホルモンの働きで、通常、排卵期には10mm以上の厚さになります。

この子宮内膜の厚さが不十分な場合、着床しにくくなることがあります。

原因には、排卵誘発剤の副作用がありますが、多くは不明です。卵胞ホルモンの不足や流産などの手術の後遺症も考えられています。

病院では、ホルモン剤を使って子宮内膜の増殖を促したり、抗生物質で子宮内の炎症を抑えたりしながら、タイミング法で妊娠をめざす方法がとられています。

黄体機能不全

黄体ホルモンとは、排卵後に卵巣の黄体から分泌されるホルモンのことで、子宮内膜の成熟を促して、受精卵を着床させやすくします。

この黄体ホルモンが十分に分泌されないことを、黄体機能不全といいます。黄体ホルモンが少なくなると子宮内膜が成熟せず、受精卵が着床しづらくなります。

基礎体温表を見ると、高温期と低温期の区別がはっきりしない、高温期があっても短い(9日~10日以内)という特徴があります。

黄体ホルモンの分泌は、脳の視床下部や脳下垂体によってコントロールされています。よって、視床下部や脳下垂体の機能が低下すると、黄体機能不全となることがあります。

また、卵巣自体のトラブルで卵胞から黄体への移行が不完全になり黄体ホルモンが分泌されないこともあります。

黄体機能不全が起こる原因については、明確なことはまだわかっていません。

病院での治療は、黄体ホルモン剤を使ったり、排卵誘発剤を使って卵巣に働きかけ、黄体ホルモンの分泌を促します。

子宮内膜増殖症

子宮内膜増殖症とは、子宮内膜が厚くなりすぎる症状です。

これは、子宮内膜の細胞分裂が異常にすすみ、本来の子宮内膜とは異なる状態になるため、受精卵が着床しづらくなります。

月経不順やホルモンのアンバランス、脂肪分が多い食生活などが原因と考えられていますが、はっきりした事はわかっていません。

子宮内膜増殖症は子宮がんの危険因子にもなると言われています。病院では掻爬(そうは)術で子宮内膜を掻き出したり、ホルモン薬で治療することがあります。

子宮体がん

子宮体がんは子宮内膜にできる悪性の腫瘍です。

ごく初期の場合、病院では掻爬(そうは)術で子宮内膜を掻き出し、抗がん剤などの化学療法やホルモン剤による治療が行われています。

がんの進行によっては子宮を全摘出することもあります。妊娠を望めなくなりますが、命にかかわることもあるので、適切な治療を受けることが大切です。

子宮体がんは、閉経後の女性がかかることが多いと言われています。

なお、子宮頚部にできる子宮頸がんは若い女性に増えています。

初期のものなら子宮を全摘出することはほとんどなく、子宮頚部の切除だけで済むので、妊娠への影響はほとんどないと言われています。

近年、ワクチンで7割近い子宮頸がんを予防できると言われていまが、妊娠への影響はまだわかっていないため、不妊治療中のワクチン接種は控えるのが望ましいと考えられています。

4.抗精子抗体

抗体とは、ウイルスや細菌などの外敵と結合してその動きを封じ込め、からだへの侵入を阻止する物質です。本来、女性のからだは精子に対して抗体をつくりませんが、まれに抗体をつくってしまうことがあります。

不妊症に悩む女性の1~3%に見つかります。

抗精子抗体があると、精子に抗体が結合して精子の動きを止めてしまうため、精子は卵管にいる卵子のところにまでたどり着けず、受精に至りません。

抗精子抗体がつくられる原因については、今のところわかっていません。

抗精子抗体が疑われる場合、血液検査で血中に抗精子抗体があるかを調べます。

抗体には弱いものと強いものがあり、抗体が強い場合は自然妊娠がむずかしいので、病院では体外受精が検討されます。抗体が弱い場合は、タイミング法で様子をみて効果がないときは人工授精に進みます。

5.年齢因子

女性は、卵巣の中に一生分原始卵胞(卵子のもとになる細胞)を持って生まれてきます。

その多くは成熟せずに消滅し、生まれた時に約200万個あった原始卵胞も、月経が始まるころには20万~30万個になります。その後、毎月数百個ずつ減少して、45歳になるころには数千個まで減ります。

女性が一生を通じて排卵する卵子の数はわずか500個ほどで、多くは成熟せずに消滅してしまうのです。

原始卵胞の数が減るのと同時に、卵巣の老化が進むと、卵子の質も低下します。そのため、受精能力のある卵子を育て、排卵することが困難になります。

一般に38歳以上になると、原始卵胞細胞の数が2万5000個以下になり、以降は急激に老化が加速します。そのため46歳以降で妊娠を望むのは難しくなると言われています。

しかし、近年の研究で実年齢と卵巣年齢(妊娠しやすさ)は同じではないことがわかってきました。なかには、卵巣年齢が実年齢よりも若い人います。

生活習慣を見直したり、鍼灸治療を受けることは、卵巣の若返りに効果的です。

6.男性因子

不妊原因の多くは女性にあると思われがちですが、WHO(世界保健機構)によると、約半数は男性にあることがわかっています。

そして、その約9割は、精子をつくる機能に問題のある造精機能障害と言われています。これは、精巣で健康な精子が十分につくられていないため、精液中に元気な精子の数が少なくなっている状態です。

精子が卵子にたどり着いて受精に至るためには、健康で活発な精子が十分な数いることが必要です。標準的な精液には、1mlあたり4000~8000万個の精子がいます。これより数が少なかったり、運動性が低い場合は、不妊の原因となります。

病院の検査では、採取した精液中の精子の数、運動性、奇形率などを調べます。

軽い乏精子症や精子無力症、精子奇形症の場合、薬を服用して様子をみます。薬で改善されない場合は人工授精などが検討されます。

一般的な基準は、1ml中の精子の数が、2000万個~3000万個の場合は人工授精、1000万個~2000万個は体外受精、1000万個以下は顕微授精です。

では、造精機能障害を招く主な4つの疾患についてお話しします。

 (1)無精子症

 (2)染色体異常

 (3)精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)

 (4)精路通過障害

無精子症

精液中にまったく精子が見つからない場合を無精子症といいます。

精巣で精子がつくられているにも関わらず、無精子症の場合、精子を輸送する精路に問題がある精路通過障害が疑われます。一方、精巣中に精子が非常に少ない、あるいは、まったく見つからない場合は、精巣機能に問題がある無精子症と診断されます。

無精子症でも精巣中に少しでも精子がみつかれば顕微授精が可能です。

染色体異常

精子がうまく作られていない原因の1つに染色体異常があります。

代表的なものは、性染色体のX染色体が通常よりも1つ多いクラインフェルター症候群です。男性ホルモンの分泌が少なくなり、精巣が小さい、乳房が女性のように大きいなどがみられ、乏精子症、無精子症になりやすいのが特徴です。

なお、染色体異常が起きる原因はまだ解明されていません。

病院では、精液中に精子がある程度いる場合は、薬や人工授精、体外受精を試みます。それでも難しいときや精液中に精子がいない場合は、ほかの無精子症の人と同じように精巣の精子を使った顕微授精が検討されます。

精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)

精子の数が少なかったり、運動性が低かったりする場合、精索静脈瘤という病気が原因になっていることがあります。

精索静脈瘤は男性不妊の約40%にあると言われています。

静脈には血液の逆流を防ぐための弁がついていますが、何らかの原因で弁に不具合が生じて血液の流れが滞ると、静脈がこぶ状にふくらみ、やがて、滞った血液は精巣内に逆流してしまいます。

通常、精子をつくるには、精巣は体温よりも2~3度低い温度が適温と言われています。精巣は熱に弱いため、体温が上昇すると精子をつくる働きが低下するからです。

しかし、血液が逆流すると精巣内の温度が高くなるため精巣の働きが悪くなり、精子をつくることに支障が生じます。

病院での治療は薬物療法や外科手術が行われます。手術しても良くならない場合は、人工授精や顕微授精が検討されます。

精路通過障害

精巣でつくられた精子は精巣のすぐ上にある精巣上体に送られてそこで成熟します。その後、精管を通って精嚢や前立腺の分泌液と混ざり、精液となります。

ところが、精巣で精子がつくられていても、精子の輸送路である精路のどこかに問題があると精子が先に進めなくなり、精液中に精子がない状態になります。これを精路通過障害といい、無精子症の1つに分類されています。

精路通過障害の症状には、閉塞性無精子症、精巣上体炎、逆行性射精などがあります。

精路が完全にふさがっている、あるいは、狭くなっているため、精子が精路を通れずに無精子症になることを閉塞性無精子症といいます。

原因は、生まれつき精管に問題がある場合や、精巣上体炎などの後遺症、事故による外傷などがあります。

閉塞の程度によって、手術や顕微授精が検討されます。

精巣上体炎とは、結核やクラミジアなどの感染症が原因で精巣上体に炎症が起こることをいいます。精巣上体に炎症が起こるとダメージを受けた部分がふさがってしまうことがあります。

病院では抗生物質で感染症を治します。

炎症が治まるとともに精巣上体の機能が回復することもありますが、精路がふさがったままの場合もあります。その時は、顕微授精が行われます。

逆行性射精とは、精液が外にではなく尿道を逆行して膀胱に行ってしまう症状をいいます。

原因はわかっておらず生まれつきのことが多いようです。

病院では、精子を採取して、人工授精や体外受精が検討されます。

7.まとめ

このように不妊症の原因となる疾患は数多くあります。もしかして不妊症かな、と思ったら早目に受診し不妊症の検査にのぞんでください。

ここでお話した病気が原因の不妊症もありますが、妊娠はホルモンなどの微量の物質の働きで営まれるために、ちょっとした体調の変化で、妊娠が成立しないことが多いのも事実です。

妊娠しやすい体質に改善するために、生活習慣を改善したり、漢方や鍼灸治療などを利用する方法もあります。

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参考文献:病気がみえるvol.9 メディックメディア、赤ちゃんが欲しい人の本 西東社、赤ちゃんほしいね 日本文芸社

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