夏鬱のセルフケア

夏鬱のセルフケア

 夏は厳しい暑さで体調を崩す人の多い季節ですが、メンタル面の不調を訴える方も多い季節です。暑くなると、(うつ)が悪化するという人も少なくありません。

 そこでここでは、自分でできる夏鬱のセルフケアについて、西洋医学と東洋医学の両面からお話します。

ミネラルとビタミン補給

 汗をかいたらビタミンミネラルをしっかりと補給しましょう。

 夏は、他の季節と比べて汗を沢山かきます。実はこれが、夏に起こる鬱と密接に関係しています。

 汗をかくと水分と一緒にナトリウム(塩分)も失われていきます。汗をかいた後、水分補給のみで塩分の補給を忘れていると、低ナトリウム血症という体内の塩分濃度が低下した状態に陥ってしまいます。

 低ナトリウム血症になると、頭痛や吐き気の他に、倦怠感や無気力など精神面に問題があらわれます。

 暑い日が続くと、だるさや無気力を感じる人が増えるのはこのためです。この状態が長く続くと、鬱があらわれやすくなります。

 ナトリウム(塩分)の他に、カリウムというミネラルも汗と一緒に失われます。体内のカリウム濃度が低下する低カリウム血症も、抑うつ感や不安感などメンタル面の不調が起こりやすくなります。

 カリウムは、昆布類やわかめ、ひじきなどの海藻類に多く含まれているので積極的に摂取して下さい。

 また、ビタミンB1などの水溶性ビタミンも不足しがちです。水溶性ビタミンとは、水に溶けやすいビタミンのことです。暑い日は、水分と一緒に失われやいので注意してください。

 ビタミンB1が不足すると倦怠感や食欲不振など、夏バテの症状があらわれやすくなります。これも鬱を悪化させる要因の1つです。

 ビタミンB1は、豚肉やぬか漬けなどに豊富に含まれています。夏に鬱が悪化しやすい人は、ビタミンB1が多く含まれる食事を進んで摂るようにしましょう。

 汗をかいたら水分だけではなく、ミネラルやビタミンの補給も心がけましょう。

軽い運動

 鬱が強くなると、外出するのも嫌になり家に閉じこもりがちになります。そうなる前に、軽い運動を取り入れてみましょう。

 ウォーキングなどは、いつでも簡単に出来るのでセルフケアに向いています。

 ただし、夏は時間帯に気を付けて下さい。

 太陽がカンカンに照る日中は、身体に負担がかかる上に熱中症のリスクがあります。気温が高くなる前の早朝か、涼しくなる夕方以降に行いましょう。

 程良い運動は、身体が心地よく感じて爽快感が得られるので鬱対策にお薦めです。

お灸

 お灸は東洋医学の1つで、江戸時代に中国から渡ってきました。

 当時は一般家庭にも広く普及し、家庭の医学として役立ってきた歴史があります。

 では、お灸をより有効に利用していただくために、まず、東洋医学では夏鬱をどう捉えているかお話します。

 西洋医学では、ミネラルやビタミンの不足が夏鬱の原因の1つと考えていますが、東洋医学ではこれと少し異なる視点で見ています。

 東洋医学には「五行論」という概念があります。

 これは、「物事は相互に関係している」という考え方で、「季節の移り変わり」と「人の身体の生理機能」も関係していると捉えています。

 よく季節の変り目に体調を崩しやすい人とか、低気圧が近づくと頭痛が起こる人がいますが、私たちの身体は季節や気候の変化に影響を受けています。

 下の五行分類表は、季節と人のカラダの対応を表したものです。五行分類表

 表を見ると、「夏」には、「暑」と「汗」が属しています。これは、「暑い夏の季節には、カラダは汗をかくことで体温調整をしている」ということを表しています。

 人は季節の変化にカラダをうまく順応させながら生きているわけです。

 でも、自然界はいつも穏やかな日ばかりとは限りません。度が過ぎると、五臓(肝、心、脾、肺、腎)を傷めます。

 ただし、ここで言う五臓とは、西洋医学でいう肝臓とか心臓とかの臓器を表している訳ではありません。ですから、「あなたは肝が弱っています」と言われても、それが西洋医学でいう肝臓の病気とは限りません。

 東洋医学で言う五臓は、カラダや精神活動をコントロールする中枢的な役割を果たしていると考えて下さい。

 では、話を元に戻します。

 近年、夏の暑さは勢いを増していることを皆さんも感じていると思います。

 前述のように、度を超す気候は五臓に影響を及ぼします。

 五行分類表を見ると分かるように、夏の酷暑は五臓の「心(しん)」を傷めます。

 そして、「心」には、五神の「神」を主る(つかさどる)働きがあります。「神」とは人の精神を意味します。

 つまり、五臓の「心(しん)」は精神活動をコントロールしています。

 厳しい暑さで「心」が病むと、精神活動をうまく調整することができなくなり、メンタル面に影響が現れるのです。

 このように、東洋医学は数千年の歴史の中で暑さと鬱の関連性を明らかにしてきました。

 そして、傷んだ「心(しん)」を直したり、厳しい暑さから「心」を守ったりする方法として、お灸を使うツボ療法が生まれました。

 お灸は、ヨモギの葉を精製して作った”もぐさ”を身体のツボに据えます。

 今は、家庭で使えるお灸が通販などで手軽に購入できます。

 それでは、数ある鬱のツボの中から、ご家庭で使いやすいツボを紹介します。

神門(しんもん)

 神門は、「心(しん)」の活力を回復させて精神の安らぎをもたらしてくれるツボです。

 神門の“神”は、「神(しん)」、すなわち、人の精神を表します。そして「神」は、「心(しん)」に宿っています。神門の“門”は出入口を表しています。

 したがって、「神」の宿る「心」に通ずる出入口がこのツボというわけです。

 神門のお灸は、暑さで病んだ「心(しん)」を癒してくれます。

 ツボの位置は、手首の関節の小指側の端にあります(下図)。神門の位置の図

 見つけ方は、手のひらを上にした状態で手首を軽く曲げ、小指寄りの手首関節部分を探ると硬い“すじ”に触れます。そこのすぐ小指側をさわると、少し窪む所があります。そこが神門です。

膻中(だんちゅう)

 膻中は、“暑邪”から「心(しん)」を守るツボです。

 “暑邪”とは酷暑から生じる邪気のことで、これが身体の中に入って病気を引き起こすと東洋医学では考えています。

 膻中の“膻”は、「心(しん)」に侵入しようとする暑邪を防ぎ、「心」を包み込んで守る膜のことを表しています。“中”は真ん中という意味です。

 つまり膻中は、胸の真ん中で暑邪の侵入を防ぎ、「心」を守るツボということです。

 夏になると鬱が悪化する人は、普段から膻中にお灸を行ってください。

 ツボの位置は、左右の乳首を結んだ線の真ん中にあります(下図)。胸骨の上にあるので、指で押すとすぐ骨に当たります。膻中の位置の図

 この場所は、やけどをすると治りにくいので、お灸は熱く感じたらすぐに取ってください。

完骨(かんこつ)

 完骨は、頭へめぐる血行をよくして活力を回復してくれるツボです。また、鬱に伴う頭のもやもや感をとってくれます。不眠にもいいツボです。

 ツボの位置は、耳たぶの後ろの出っ張っている骨(乳様突起)の後ろの窪みの中にあります(下図)。ここを指で強めに押すと、頭にひびくような痛みを感じます。完骨の位置の図

 毎年夏鬱に悩まされる方は、お灸を一度試してみてはいかがでしょうか。

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