つわり

つわり

 つわりとは、妊娠によっておこる悪心・嘔吐などのことです。

つわりの経過

 つわりは、50~80%の妊婦さんが経験し、初産婦に多い傾向があります。妊娠4~6週頃からあらわれますが、一過性で妊娠12~16週頃までに自然に消失します。

 でも、長引くケースもあり、妊娠5か月以上でも15%ほどの妊婦さんがつわりを感じています。中には妊娠8ヶ月で、つわりに悩まされ訪れる妊婦さんもいます。特に、よだれがだらだらと出る「よだれつわり」は、妊娠後期まで続く人が多いです。

つわりの程度

 つわりには個人差があり、ほとんど感じないという人から、重症化して妊娠悪阻(おそ)で入院する人までいます。

 悪心(吐き気)、嘔吐、唾液の増加、全身倦怠感(だるさ)、頭痛、眠気、食欲不振、嗜好の変化など、個人差が大きいのも特徴です。比較的、早朝の空腹時に顕著である人が多いので、欧米ではmorning sicknessとよばれています。

 いずれにしても、胎内で一つの命が育ち始めているのですから、「全然なにも感じない」ということはごく稀です。自分のからだだけがおかしいと思い込まないようにしましょう。

妊娠悪阻(おそ)とは

 稀につわりが重症化して、妊娠悪阻になることがあります。栄養障害、体重減少などがみられ、病院での治療を必要とする状態です。

 つわりと妊娠悪阻を明確にわける基準はありませんが、つわりが長く続いたり、悪化がみられたりしたときは、妊娠悪阻の可能性があるので、病院でみてもらいましょう。

 妊娠悪阻が疑われるケースとして、一日中続く頻回の嘔吐、食事摂取困難、5%以上の体重減少、脱水・飢餓状態、尿中ケトン体陽性などがあります。

 初産婦に多い傾向がありますが、重症化するものは経産婦に多いようです。妊娠悪阻は、全妊娠の1~5%にみられます。

つわりの対策

 つわり対策の基本は、「できることをできるときに行う」です。

 日常生活や食事の工夫をすると良いでしょう。

 つわりで食事が十分に摂取できなくても、この時期の胎児はまだ小さく、母体が備えている栄養で成長できます。つわりのせいで低体重児が産まれたり、流産したりというようなことは、ほとんどありませんから心配しないようにしましょう。

食事の工夫

食べたいものを食べる

 朝起きた時にむかつくようでしたら、枕元に軽食(クッキーなど)を用意しておき、朝すぐにつまめるようにしておくと良いでしょう。

 つわりのときの食事のポイントとして、「無理をしないで、食べたいものを食べられるときに食べる」という方法もあります。先述のように、この時期はまだ赤ちゃんは小さいので、栄養のことをとくに心配する必要はありません。お母さんがやせてしまっても、赤ちゃんはちゃんと栄養を吸収しています。

 また、1回に食べる量を少なく、何回かにわけて食べるのもよいでしょう。

 食事の支度をやりたくないようなときは、無理をしないで外食をとるのもおすすめです。

水分補給を心がける

 激しい嘔吐のあとは水分が不足するので、必ず補給しましょう。

 水分が不足すると便秘になり、便秘をするとつわりがひどくなる、という悪循環におちいりがちになるので気をつけましょう。

日常生活の工夫

無理せず、リラックス

 普段の生活では、家事や仕事で無理をせず、安静にしたり、読書や音楽を聴いたり、天気の良い日は軽く散歩するなど、なるべくリラックスして過ごすのが良いでしょう。

趣味

 つわりを忘れるために、趣味などの集中できるものをみつけたりするのもおすすめです。

 外出時は空腹を避け、糖質補給に心がけてください。

つわりの原因

 つわりはなぜ起こるのでしょうか?

 実は、つわりの原因はまだ明確にはされていません。一般には、妊娠したことによる精神面の変化やからだの変化と言われています。

気持ちの変化

 必要以上に出産への不安などがある場合にはつわりが起こりやすく、デリケートな人ほど強くなる傾向があります。

 反対に、のんびりしている人などは、比較的つわりが軽くすむケースが多いようです。

からだの変化

 妊娠にともなうホルモン変化や代謝変化などが関与していると言われています。

 妊娠すると、赤ちゃんを育てるためにからだは急激に変化します。その変化にからだが追いついていかない、つまり、「適応できない状態」になっている、というのがつわりです。

 ですから、つわりは、いくつもの要因がからんで引き起こされています。

 その要因が、一般にいわれる、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)、エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)などのホルモン変化や、甲状腺ホルモン増大による代謝変化、自律神経の失調などです。

 いずれも具体的なメカニズムは明らかになっていませんが、中でも比較的理解しやすいのは、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)とプロゲステロンと呼ばれるホルモンの影響です。

 hCGは妊娠すると、形成中の胎盤から分泌されるホルモンです。妊娠10週前後をピークに分泌され、つわりの時期とほぼ重なっています。hCGには、妊娠黄体を刺激して、プロゲステロンというホルモンを分泌させる作用があります。

 プロゲステロンには、妊娠中の排卵を抑制して妊娠を維持するという、とても大切な働きがあります。また、子宮の平滑筋と呼ばれる筋肉を弛緩する作用(子宮を緩める作用)もあります。これにより、胎児の成長に合わせて子宮が大きくなることが可能となります。

 その一方で、子宮以外の平滑筋も弛緩します。たとえば、消化管(胃、小腸、大腸など)です。胃腸は、平滑筋が収縮することによって消化物を運んでいます。

 ですから、平滑筋が弛緩すると、胃腸の運動機能は低下します。

 すると、食べた物がなかなか運ばれず胃の中に長時間残り、吐き気がしたり、嘔吐したり、げっぷが増えたり、ということが起こってくることになります。

 腸に貯留すると、便秘になったり、ガスが増えお腹がはるということにもなります。

 悪心・嘔吐が顕著な人は、プロゲステロンの増大に適応できずに、胃腸が過剰に反応していることが考えられます。

 ただし、hCGとプロゲステロンだけで「つわり」が説明つくわけではありません。

 ホルモンなどのからだの変化は、妊娠すれば必ずだれにでも起きるものです。

 でも、「つわり」は個人差が大きく、ほとんど感じない人から、重症化する人までいます。同じ変化であるはずなのに、なぜ、これほど差があるのでしょうか?

 そこに、「つわり」の根本的な原因があると東洋医学では考えています。

東洋医学でみるつわりの原因と鍼灸治療

 西洋医学的にみると、妊娠にともなうホルモンの変化や代謝の変化など、さまざまな要因が考えられていますが、これで「つわり」のすべてが説明できるわけではありません。

つわりの個人差は適応力の差

 例えば、西洋医学では、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)やプロゲステロンなどにスポットをあてます。プロゲステロンの影響で胃腸機能が低下するため、プロゲステロンがつわりの原因ではないかと考えます。

 でも、プロゲステロンの分泌は、妊娠すればだれにでも起きることなのに、すべての妊婦さんが胃腸機能が低下するわけではありません。

 つわりは個人差がとても大きく、ほとんど感じない人から、重症化して入院する人までいます。

 つわりの原因を考える上で大切なことは、つわりには個人差があるということです。

 なぜ同じ変化がからだに起きているのに、つわりが軽くすむ人と重症化する人がいるのでしょうか?

 つわりは、妊娠にともなうからだの急激な変化に追いつけない、いわゆる適応障害の状態にあります。

 つまり、適応力の高い人はつわりが軽く、適応力が低い人は重くなるのです。

 では、なぜ適応力が低下してしまうのか?その答えこそが、つわりの根本原因です。

冷えの影響

 つわりの根本原因の前に、みなさんのからだに備わっている自己治癒力についてお話しします。

 みなさんのからだには、病気から体を守る免疫力や、傷や骨折を癒す修復力、赤ちゃんを授かる妊娠力などの力(機能)が備わっています。

 これらは、健康的な日々を暮らし、新しい命を育むために必要な力です。東洋医学では、これらの力を総称して、自己治癒力とか自然治癒力と呼んできました。

 先述の適応力も、自己治癒力の1つと言えます。

 もし、ホルモンの変化に順応する適応力がなければ、妊娠したひとは全員「つわり」に苦しむことになります。適応力がしっかり働くことで、健康的な妊娠生活を送ることができるのです。

 ところが、適応力が低下してしまうと、妊娠にともなうからだの変化についていけなくなり、つわりが起こることになります。さらに適応力が低下すると、重症化して妊娠悪阻で入院が必要ということになります。

 では、どうして適応力は低下してしまうのでしょうか?

 東洋医学では、昔から「冷えは万病のもと」といわれてきました。

 冷えは、からだに備わっている自己治癒力(妊娠力、適応力、免疫力など)を低下させてしまいます。

 身近でわかりやすい、免疫力を例にお話しします。

 免疫力とは、病からからだを守る自己治癒力の1つです。

 科学の進歩とともに、病気の原因となる細菌やウイルスなどが発見され、さらに、これら外敵からからだを守る、白血球などの免疫システム(免疫力)の存在も明らかになりました。

 さらに近年の研究では、「体温が1度下がると、免疫力は30%低下する」ことがわかりました。

 からだが冷え、免疫力が落ちると、病にかかりやすくなります。まさに「冷えは万病のもと」です。

 このような経緯から、西洋医学の分野でも「冷え」が注目されはじめ、最近では、妊娠生活にも影響が及ぶと考えられるようになり、病院でも「冷え」に注意を払うところが増えてきました。

 このように、東洋医学で昔から言われてきた、「自己治癒力」や「冷えは万病のもと」の実体が科学的にも立証され、認知されるようになってきました。

冷えの正体

 鍼灸は、数千年に及ぶ施術の積み重ね中で「冷えと病の関係」を明らかにしてきました。

 病は究極のところ「冷え」に帰着します。

 しかし、一般に「冷え」というと温度の冷えを思い浮かべますが、東洋医学における「冷え」は、温度だけではなくもっと深い意味をもっています。

 人は精気(生命エネルギー)をもって生まれてきます。

 ところが、精気(生命エネルギー)は、いつまでも生まれた時のままという訳ではなく、歳をとるに従って減衰していきます。これを「生理的な冷え」といいます。生理的な冷えを表したグラフ

 そして、精気を使い切ると、寿命を迎え、からだはとても冷たくなります。「生理的な冷え」は、だれも避けることのできないものです。健康的な日々を送ることができれば、精気は120歳ぐらいまでもつと言われています。

 しかし、ひとは誰でも生きていると色々な問題に直面します。仕事や家事、出産、育児、介護などで肉体的に大きな負担がかかったり、人間関係などのストレスを抱えたりします。

 この状態が続くと、余計に精気を消耗することになり、生理的な冷えとは異なる、「病的な冷え」が生じます。病的な冷えを表したグラフ

 その結果、自己治癒力は低下し、さまざまな病が引き起こされることになります。これが、東洋医学でいう「冷え」の正体です。

つわりの原因と鍼灸治療

 妊娠すると、母体は赤ちゃんを育んでいくための準備をはじめます。特に、妊娠直後は、受精卵の成長を助けるために、今までにない急激な変化が母体におこります。

 受精卵がスムーズに成長できる環境を整えるためにホルモン分泌が変化したり、赤ちゃんの発育に必要なエネルギーをつくりだすために代謝機能が大きく変化したりします。

 その一方で、適応力がはたらき、変化する体内環境に母体を順応させます。

 でも、冷えのために適応力が低下していると、変化していく体内環境になかなか順応することができず、つわりが引き起こされることになります。

 つまり、つわりの根本原因は「冷え」と考えています。

 適応力の低下が軽度の人はつわりも軽くすみますが、「冷え」が強い人は適応力の低下も大きく、つわりが重かったり、重症化して妊娠悪阻になることがあります。

 通常、妊娠すると体温は高くなり、冷えを感じにくくなりますが、つわりの重い妊婦さんは、手足の冷たい人や、何らかのストレスを抱えている人に多い傾向があります。

 また、妊娠前に冷え性だった人や、忙しい生活を送っていた人が、つわりで訪れるケースをよくみかけます。

 はなもも鍼灸治療院では、「気血のめぐりを整え冷えをとり、適応力を高める」という施術を行っています。

 めぐりが良くなりなると、妊婦さんらしい温かなからだを感じていただけます。

 はなもも鍼灸治療院は、快適なマタニティライフを過ごすお手伝いをさせていただきます。つわりが辛い方は、我慢せず、ぜひ一度ご相談ください。

参考文献:小林詔司:積聚治療 医道の日本社、病気がみえるvol.10 メディックメディア、妊娠と出産10ヶ月 成美堂出版

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