胃酸過多
胃酸過多で悩んでいる人は意外と多いのではないでしょうか。長期にわたって、患っている方も決して少なくないと思います。
ここでは、胃酸過多と当鍼灸院で行っている施術についてお話します。
胃酸過多とは
胃酸過多とは、食べた物を消化するための胃酸が、必要以上に胃壁から分泌される状態を言います。
胃酸はとても酸性度が高いため、過剰に分泌されると自らの胃壁を傷つけてしまうことがあります。
それだけではなく、胃酸が逆流すると食道が傷つき、逆流性食道炎を起こしてしまいます。
胃酸過多になると、胸やけ、吐き気、胃痛、食欲不振、げっぷ、口臭などの不快感に悩まされます。
胃酸過多の原因
胃酸過多の原因は、まだはっきりとわかっていませんが、精神的ストレスの過重が発端になると考えられています。
普段、胃酸の分泌量は自律神経とホルモンによって調節されています。
食べ物が胃に入ると、これを消化するために、胃酸が分泌されますが、この時、自律神経とホルモンが協力し合って、消化に丁度いい量の胃酸を分泌します。
この仕組みについて、もう少し詳しくお話します。
自律神経には副交感神経と交感神経、と呼ばれる2種類の神経があって、この2つの神経が胃酸の分泌をコントロールしています。
食後、副交感神経が優位に働くと、胃壁の血液循環が活発になり胃酸の分泌が促進されます。
反対に、仕事中など緊張状態の時は、交感神経が優位に働き、胃壁の血行が緩やかになって胃酸の分泌が抑えられます。
このように、状況に応じて2種類の自律神経が胃酸の分泌を調節しています。
一方、ホルモンによる調節は、ガストリンとセクレチンと呼ばれる2つのホルモンが受け持っています。
胃酸が不足していればガストリンが分泌量を増やし、反対に多過ぎればセクレチンが分泌量を抑えます。
正反対の働きをする2つのホルモンによって、適量の胃酸が分泌されるようになっています。
以上のように、自律神経とホルモンが上手くバランスをとりながら胃酸の分泌量をコントロールしています。
ところが、この2つの働きを乱すものが精神的ストレスです。
自律神経とホルモンは、感情の変化に左右されやすいため、仕事などで精神的ストレスがかかり過ぎると、バランスを崩すことがあります。
2つの働きがストレスでかき乱されて、胃酸の分泌調整に狂いが生じると、胃酸過多を招くことになります。
また、人のからだはストレスを受けると、副腎皮質ホルモンの分泌が高まるようになっています。このホルモンは、ストレスに対抗するために分泌されるホルモンですが、これとは別に、胃酸の分泌量を増やす作用も持っています。
このため、長い期間にわたってストレスにさらされると、それだけ胃酸過多になりやすくなるわけです。
胃酸過多の対処方法
自律神経やホルモンのバランスがくずれることで起こる胃酸過多。
対処方法としては、規則正しいリズミカルな生活をおくることや、リラックスして心の安定をはかることが有効です。軽い運動で気分転換するのもよいでしょう。
食生活はとても大切です。特に、空腹時の飲酒と不規則な食事は、胃にとって大敵です。消化の悪いインスタント食品や肉ばかり食べる偏食はやめて、消化のよい栄養バランスのとれた食事にしましょう。
食べ物では、キャベツのビタミンAやU、ジャガイモのビタミンCなどは胃の粘膜を強化してくれます。また、肉料理などに大根おろしを添えて食べると、胃液が中和されて胃への負担が軽くなります。胃酸過多にはミルクもおすすめです。
冷たい飲食物のとり過ぎも胃の調子を悪くします。なぜなら、冷たい物が胃に入ってくると、胃壁の血管が収縮して血液循環が悪くなり、胃壁を守る粘液の分泌量が減少するからです。なるべく温かい食事をこころがけましょう。
胃への負担を軽くするためには、カフェイン類やたばこも減らしましょう。
不快感がひどいときは別の病気が潜んでいることもあるので、一度病院でみてもらいましょう。薬を処方してくれる病院もありますが、副作用が気になる人や、服用してもあまり変わらない人には、東洋医学の鍼灸や漢方薬があります。
漢方薬は自然の生薬なので副作用の心配は少ないです。しかし、からだに合わないものを服用すると副作用があらわれることもあるので、必ず漢方医に処方してもらいましょう。
鍼灸は、からだのツボに鍼やお灸を施すことで、胃酸過多を緩和します。副作用の心配はありません。
程度が軽ければ、ツボ押し(指圧)で済むこともあります。場所を選ばず自分で手軽にできるので、一度、試してみてはいかがでしょうか。
胃酸過多におすすめのツボは陽陵泉(ようりょうせん)です。
陽陵泉(ようりょうせん)
陽陵泉は、胃酸の分泌を整える作用があり、昔から鍼灸でよく使われてきたツボです。
「陽」は外側の意味で、「陵」は丘のことです。「泉」は、いずみや水源をあらわします。つまり、陽陵泉というツボの名前は、陽の側、すなわち足の外側にあり、小高い丘のようなところにあって、からだをめぐるエネルギーの湧き出るところ、という意味になります。
ツボの見つけ方は、足の外くるぶしから膝に向かって真上になで上げると、膝の下で小さな丸い骨にあたります。その前のすぐ下のくぼみに、陽陵泉があります(下図)。
いろいろな角度から指で押してみてください。痛みが強い所を指圧すると、胃酸の分泌を抑えられ不快感が緩和されます。強く押しすぎないように気をつけて下さい。
胃酸過多の施術
当鍼灸院では、胃酸過多の不快感を和らげる「対症療法的な施術」と、胃酸過多のない健康なからだを取り戻す「根本治療的な施術」を行っています。
具体的には、前章で紹介した陽陵泉に加えて、胸やけや胃痛などのツボを駆使して、まずは、今悩まされている不快感をいち早く鎮めていきます。
さらに、胃酸過多の根本原因を解消して、本来の健康なからだを取り戻します。
時々、「一度よくなったと思っても再発してしまう」と言う人がいますが、これは、根本原因を取り除く施術を受けていないためと考えられます。
一時的に良くなったとしても原因がからだに残っていれば、いずれ再発します。
胃酸過多体質から脱却するには、根本原因を解消することが重要です。
当鍼灸院で行っている積聚治療(しゃくじゅちりょう)では、病の原因を一元的に考え「冷え」と捉えています。
ただし、ここでいう冷えとは、単に冷たいということではなく、「精気の虚」、つまり、「生命力の消耗」を意味しています。
病は、その人の生命力が低下して、からだに備わっている機能が正常に働かなくなることで起こります。
生命力は生体のエネルギー源です。エネルギーが不足すると、からだに備わっている機能は正常に働かなくなり、その結果、様々な症状があらわれます。
わかりやすい身近な例に風邪があります。私たちはいつも風邪ウイルスに囲まれて生活していますが、普段は、からだに備わっている免疫機能が働き、体内に侵入してきた風邪ウイルスを退治しています。
ところが、風邪をひくことがあります。
それは、仕事や家事などで無理を続けた時です。からだに無理を強いる生活は、生命力(エネルギー)を余計に消耗します。エネルギーが不足した結果、免疫機能が低下し、風邪をひいてしまうわけです。
胃酸過多も同様です。
どんなにストレスに強い人でも、限度はあります。過度なストレスに長期間さらされれば、それに抵抗するために生命力を余計に消耗することになります。
生命力の消耗が、自律神経やホルモン機能に影響すると胃酸過多を招くことになります。
生命力の低下がどの機能に影響して、どんな病が引き起こされるのかは、その人の生まれ持った体質や生活環境によって様々です。
重要なのは、病の原因は生命力の低下に帰着する、ということです。
当鍼灸院では、胃酸過多の根本原因を「生命力の消耗」と捉え、生命力を回復する施術を行っています。
本来の生命力が戻れば、自律神経やホルモンの機能は正常に働きはじめ、胃酸過多は自然に解消されます。
胃酸過多の不快感をいち早く和らげる施術と、胃酸過多の根本原因を解消する施術、この2つを組み合わせて胃酸過多からの早期脱却を目指しています。
胃酸過多でお悩みの方、よくなったと思っても再発してしまう方、ぜひ一度、はなもも鍼灸治療院にご相談ください。

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